更新日: 2025.9.19
「最近、なんとなく体が重い」
「腰痛や肩こりがなかなか治らない」
「スタイルが崩れてきた気がする」
このようなお悩みを抱えている方は、もしかすると「骨盤の歪み」が原因かもしれません。
本記事では、骨盤の歪みが引き起こす不調や手軽にできるセルフチェック法を詳しく解説します。記事の後半には、自宅でできる効果的なストレッチやトレーニング方法まで紹介するので、体の内側から美しく健康になりたい方は、ぜひ参考にしてください。
監修者の紹介

ユミコア インストラクター Sachiko ■プロフィール総合病院や整形外科で理学療法士として勤務後、結婚、出産後は主婦業に専念。子育てが落ち着いた40歳ごろからフリーのトレーナーとして活動開始。運動指導だけでなく、ダイエットカウンセリングなども手がける。2023年より、YumiCoreBody天神スタジオにトレーナーとして従事。多くの女性が抱える身体の悩みに寄り添っている。 ■保有資格 ・理学療法士 ・BESJピラティスマットワークインストラクター ・臨床栄養医学指導士 ・食欲コントロールダイエット協会認定講師 ・栄養コンシェルジュ二つ星 |
そもそも「骨盤の歪み」とは?
骨盤とは、背骨の土台にあたる「仙骨(せんこつ)」、そしてその左右に広がる「腸骨(ちょうこつ)」などで構成された、体の中心部を支える重要なパーツです。
骨盤の歪みとは、何らかの原因によって骨盤を構成している「腸骨」と「仙骨」のバランスが崩れてしまい、前後左右に傾いたり、捻れたり、開いたりした状態を指します。
上半身と下半身をつなぐ骨盤の歪みを放置してしまうと、全身に悪影響を及ぼす可能性があります。身体全体の不調や慢性的な痛みとなっているケースも少なくないため、骨盤が歪んでいる場合はなるべく早期に対処することが大切です。
骨盤の歪みのタイプ
骨盤の歪みには、大きく分けて次の4タイプに分類できます。
・傾きタイプ
・捻れ(ねじれ)タイプ
・開きタイプ
・骨盤の前後傾
それぞれのタイプの特徴を詳しくみていきましょう。
傾きタイプ
「傾きタイプ」とは、左右のどちらかに骨盤が傾いてしまっている状態です。
このタイプは、足の長さが左右で異なるケースが多く、腰はもちろん、肩や足、首などさまざまなパーツに大きな負荷がかかり、痛みや不調を招く原因となります。
次のような症状がある方は、「傾きタイプ」である可能性があります。
・片足重心で立つ癖がある
・靴のソールのすり減り方が左右で異なる
・まっすぐ歩けない
・正面から見た肩の高さが違う
傾きタイプの方は、左右のどちらかに体重の負荷がかかりやすいため、坐骨神経痛や肉離れを起こしやすくなるのも特徴です。
捻れタイプ
「捻れタイプ」とは、骨盤が前後方向にねじれてしまっている状態です。男性よりも、女性に多い傾向があり、脚の長さに差が出たり、歩き方が不自然になったりするのが特徴です。
次のような症状がある方は、「捻れタイプ」である可能性があります。
・左右の股関節の可動域が異なる
・スカートを履いていると、気づいたら位置がズレている
骨盤が捻れてしまうと、筋肉の付き方のバランスが悪くなるため、左右のお尻の大きさに差が生じる人も少なくありません。スタイルが悪く見えるだけでなく、腰痛に悩まされる人も多く存在します。
開きタイプ
「開きタイプ」とは、妊娠・出産によって骨盤が開いたままの状態になっていたり、インナーマッスルの筋力低下によって骨盤が左右に開いたりした状態を指します。下半身のボリュームが気になる人に多いタイプといえるでしょう。
次のような症状がある方は、「開きタイプ」である可能性があります。
・体重はそこまで変わっていないのに、産前のスカートやズボンが履けない
・お尻が大きくなって、垂れて見える
・反り腰、猫背に悩んでいる
・О脚で両ひざの間が開いている
骨盤は、全身だけでなく、内臓を支える働きもあります。骨盤が開いた状態では、内臓の位置も下がりがちになり、内臓の働きも悪くなる恐れがあるでしょう。
開きタイプは、特に産後の女性に多く見られる歪みです。これから出産を控えている方や出産を終えた方は、骨盤が歪まないように産後の骨盤ケアに力を入れていきましょう。
骨盤の前後傾
本来の骨盤の状態は、少し前傾(前の方に傾いている)しています。しかし、お尻や太ももの筋肉が硬くなると、骨盤が過度に前傾または後傾し、歪みの原因になるため注意が必要です。
前傾・後傾の場合、次のような症状が出る恐れがあります。
【前傾】
・反り腰
・お尻が後ろに出っ張りやすくなる
・太ももが太くなる、張りが目立つ
【後傾】
・猫背
・下腹がぽっこりと出やすくなる
・バストやヒップが垂れやすくなる
前傾の場合は、「反り腰」、後傾の場合は「猫背姿勢」につながります。腰痛や肩こり、ぽっこりお腹、そしてボディバランスが崩れる原因にもなると覚えておきましょう。
骨盤の歪みの主な原因
骨盤が歪んでしまう主な原因は、次の3つです。
・日常生活の姿勢・クセ
・妊娠や出産による身体の変化
・運動不足や筋力バランスの崩れ
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
日常生活の姿勢・クセ
日常生活における姿勢やクセは、骨盤が歪む原因となります。
具体的には、次のようなものが挙げられます。
・いつも同じ側の手や肩で荷物を持つ
・片足に重心をかけて立つことが多い
・座るときに足を組む
・床に座るとき片側だけで横座りをする
・足を組んで座る
・頬杖をつく
・普段からハイヒールを履く習慣がある
・うつ伏せで寝ることが多い
上記のような行動は、何気なくやってしまいがちなクセばかりです。しかし、小さなクセを長期間繰り返し続けてしまうと、骨盤の歪みにつながります。
妊娠や出産による身体の変化
女性は、妊娠や出産を経験して骨盤が歪んでしまうケースも少なくありません。妊娠によって、お腹まわりが大きくなると、身体の重心が大きくズレてしまい、骨盤に大きな負担がかかる恐れがあります。歪みが大きいと、強い痛みが生じることもあるでしょう。
通常、出産によって開いた骨盤は、数ヶ月かけて元の状態に戻りますが、骨盤まわりのインナーマッスルが低下してしまうと、正しい位置に戻りにくくなります。
その結果、骨盤が歪んだままの状態で過ごさなければなりません。
運動不足や筋力バランスの崩れ
運動不足や加齢などが原因で、全身を支えるインナーマッスルが衰えてしまうと、筋力のバランスが崩れてしまい、骨盤を正しい位置でキープできなくなります。
骨盤のまわりには、浅いところから深いところまで、さまざまな筋肉がついています。そのため、骨盤を支える筋肉が弱くなってしまうと、正しい姿勢を取りづらくなり、骨盤が前傾したり、骨盤を前に押し出したりしがちです。
デスクワークが中心の方や、運動不足の方によくある原因とされています。
骨盤の歪みによって起こる不調
骨盤の歪みが身体に与える影響は、主に次の2つに分類されます。
・身体の不調
・身体や姿勢の崩れ
骨盤が歪んでしまうと、ボディラインが崩れてしまうだけでなく、身体不調や慢性的な痛みの原因にもなります。
特に女性は、ホルモンバランスもあり、トラブルが深刻化するケースも珍しくありません。
ここでは、骨盤が歪むことで生じる「身体の不調」と「身体や姿勢の崩れ」の具体的な症状について詳しく解説します。
身体の不調
骨盤の歪みによって生じる身体の不調には、次のようなものが挙げられます。
・腰痛
・肩こり
・冷え、冷え性
・むくみ
・生理痛
・生理不順
・便秘
・胃の不調
これらの症状は、骨盤が歪んで骨盤周辺の筋肉の働きが弱くなり、肩や腰などの筋肉に大きな負担がかかることで生じるものです。
また、上半身と下半身を結ぶ骨盤が歪んでしまうと全身のリンパの流れが滞ってしまい、むくみや冷えなどの症状が強く出るケースもあります。
また、女性の場合は、骨盤の歪みによって子宮や卵巣などの女性器の血流も悪くなると、生理痛や生理不順、PMSなどの症状の悪化も懸念されます。
さらに、内臓を支える骨盤が歪んでしまうと、内臓の位置が下がりやすくなり、内臓機能が低下するため、便秘や胃の不調などを引き起こす恐れもあるでしょう。
体型や姿勢の崩れ
「最近、体型が変わったかも?」と思っている場合は、もしかすると「骨盤の歪み」が関係しているかもしれません。
骨盤が歪んでしまうと、身体のバランスが崩れてしまい、体型や姿勢の崩れなどを起こす恐れもあります。具体的な症状は、次のとおりです。
・O脚
・X脚
・下半身太り
・下腹がぽっこりと出る
・尿漏れ
・猫背
・反り腰
骨盤が歪むと、骨盤が非対称の状態になりやすく、体幹を支えるインナーマッスルの働きが弱くなってしまいます。
その結果、下腹やお尻周りに脂肪がつきやすくなり、表面の筋肉はカチカチに固まりやすくなり、身体のバランスも悪くなりがちです。さらに、左右のどちらかに脂肪や筋肉がつきやすくなり、左右差が生まれるケースもあります。
また、骨盤が歪むと、股関節やひざ関節にねじれが起こりやすくなります。
その結果、脚も歪んでしまう恐れがあります。例えば、骨盤が開き気味の状態が続くと、股関節が外側に引っ張られてしまい「O脚」に、デスクワークなどで長時間座りっぱなしの状態でいる方、内股で歩くクセがある方は「X脚」になりやすい傾向にあります。
さらに、骨盤が歪んでしまうと、猫背や反り腰など姿勢も崩れてしまいます。
その結果、内臓が下の方に下がりやすくなり、内臓機能や代謝機能が低下して、太りやすい体質になる恐れもあります。下半身太りやぽっこりお腹などの原因にもなるでしょう。
【セルフチェック】骨盤の歪みを自分で確認する方法
骨盤の歪みが気になる方は、自宅でできる簡単なセルフチェックでご自分の骨盤の状態を手軽に確認できます。
ここでは、自宅でできる4つのチェック法をご紹介します。
足踏みによる骨盤歪みチェック
骨盤の歪みを確認するためには「足踏み」によるチェック法がおすすめです。
【足踏みによる骨盤歪みチェック①】
1. 両脚を肩幅に広げて立つ
2. 両手を腰に当てた状態で、片足を上げてバランスを取る
3. 左右の脚を交互に上げながら、左右さを確認する
万が一、左右の脚でバランスの取りやすさが異なる場合は、骨盤が歪んでいる恐れがあります。
【足踏みによる骨盤歪みチェック②】
1. 目を閉じた状態で真っ直ぐ立つ
2. 目を閉じた状態で、その場で50回ほど足踏みをする
3. 自分がいる場所から離れないように意識をする
4. 足踏みが終わったら、最初に立っていた場所からどの程度離れたかをチェックする
骨盤が前後左右に歪んでいる場合は、最初にいた場所から大きくズレが生じます。
骨盤の歪みがあると身体のバランスが崩れて、脚の上げ方や出し方、歩幅、重心が偏っている証拠です。
背中を壁につける骨盤歪みチェック
背中を壁につけて骨盤の歪みをチェックする方法も試してみましょう。
【背中を壁につける骨盤歪みチェック】
1. 背中を壁につけた状態で立つ
2. かかとやお尻、背中、頭も壁に密着させる
3. 壁と腰の間に手のひらを差し込んで、隙間の広さを確認する
腰と壁の隙間に手のひら一枚分程度の隙間がある場合は、骨盤はほぼ正常な位置にある
「理想的」な状態といえます。
手のひらが楽々入る場合は「骨盤前傾」タイプ、手のひらが入る余裕がない場合は「骨盤後傾」タイプです。背中が無理に反ったり、浮いたりしている場合は、骨盤が歪んでいる恐れがあります。
長座姿勢による骨盤歪みチェック
長座の姿勢になって、骨盤の歪みをチェックしましょう。
【お尻歩きによる骨盤歪みチェック】
1. 座った状態で、両脚を前に伸ばす
2. お尻を片方ずつ浮かせながら、前の方向に向かって移動する
左右どちらかだけが進みづらかったり、真っ直ぐ進めなかったりする場合は、骨盤が歪んでいる恐れがあります。
【つま先による骨盤歪みチェック】
1. 長座の状態になる
2. 両脚のかかとをつける
3. 左右のつま先を見比べる
右側のつま先が右に傾いている場合は、骨盤が「右」に開いている状態です。反対に、左側のつま先が左に傾いている場合は、左に開いている恐れがあります。
靴底による骨盤歪みチェック
骨盤の歪みが気になる方は、普段履いている靴のかかとの減り方をチェックしてみましょう。
靴の裏を見てすり減っている場所が、靴底の外側のかかと部分のみであれば、骨盤は正しい位置にあると考えて問題ありません。
しかし、次のようなすり減り方をしている場合は要注意です。
靴裏のすり減り方 | 骨盤の歪みのタイプ |
---|---|
つま先寄りの中心部分がすり減っている左右の外側のみがすり減っている | 骨盤が後傾している恐れあり |
靴底の内側がすり減っている | 骨盤が前傾している恐れあり |
すり減りかたが左右非対称になっている | 骨盤の位置が左右非対称になっている恐れあり |
通常であればすり減らないような「中心部分」や「内側部分」、さらに「片側のみ」が極端にすり減っている場合は、骨盤が歪んで重心が偏っている証拠です。
靴底のチェックをする際は、ローファーやヒールの高い靴、さらに最近流行っている厚底タイプのスニーカーやサンダルなども避けてください。
日常使いをしているスニーカーを使ってチェックしましょう。
骨盤の歪みを整えるメリット
骨盤の歪みを整えるメリットは、次のとおりです。
・姿勢が整い、疲れにくい身体を目指す手助けに
・腰など、骨盤の周囲の筋肉がほぐせる
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
姿勢が整い、疲れにくい身体を目指す手助けに
骨盤は、上半身と下半身をつなぐ土台のような重要なパーツです。
骨盤が正しいポジションに整うことで、背骨や肩、腰の位置も自然と安定しやすくなり、無理なく正しい姿勢をキープできるようになります。
また姿勢が整うと、内臓の位置も正常な位置に戻って内臓機能が正常に働き、深い呼吸ができるようになるため、基礎代謝もアップします。ぽっこりお腹や下半身太りの解消にもつながるでしょう。特に、猫背や反り腰が気になる方は、骨盤ケアがおすすめです。
さらに骨盤をケアすると、血流が良くなり、身体の各パーツに必要以上の負荷がかからなくなります。
腰など、骨盤の周囲の筋肉がほぐせる
骨盤の周囲の筋肉が硬いと、靭帯が過剰に引っ張られたりするため、血液やリンパの流れが起こりやすくなります。その結果、女性特有の生理痛や生理不順、むくみ、冷えなどのマイナートラブルに悩まされるケースも少なくありません。
骨盤の周囲の筋肉をほぐすことで、筋肉の強張りや緊張が解消されて、全身がリラックスしやすい状態になるでしょう。
骨盤の歪みを改善する4つの方法
骨盤の歪みを整え、改善する方法には、専門家に頼るものから、自宅で手軽にできるセルフケアまで、さまざまな方法があります。
特徴 | 費用感 | |
---|---|---|
カイロプラティック | ・アメリカ発祥の民間療法・背骨や骨盤を手技で矯正するアプローチ方法 | 5,000〜8,000円程度(1回あたり) |
整骨院 | ・国家資格者(柔道整復師)が筋肉・関節のバランスを整える・ケガや痛みにも対応可能 | 保険適用あり自由診療の場合は、3,000〜6,000円程度(1回あたり) |
整形外科 | ・医師による診察・画像診断ができる・医療機関のため、必要に応じて投薬・リハビリも行える | 保険適用あり(初診料+検査費) |
セルフケア | ・自宅でストレッチやエクササイズを行うセルフメンテナンス法・対面レッスンやオンラインレッスンも人気がある | 0円〜1万円程度(1ヶ月あたり) |
ここからは、それぞれの特徴やメリット、デメリットを詳しく解説します。
カイロプラティック
カイロプラティックとは、1895年にアメリカで発祥した背骨の動きや歪みに着目した施術方法であり、西洋医学の考えをもとに確立された技術です。
【特徴】・アメリカ発祥の民間療法・背骨や骨盤を手技で矯正するアプローチ方法 【費用感】5,000〜8,000円程度(1回あたり) 【向いている人】・すぐに効果を感じたい人・姿勢を改善したい人・それぞれの関節の可動域を高めたい人 【メリット】・即効性が高い・慢性的な歪みにも対応できる 【デメリット・注意点】・施術者によって効果に差が生じる・国家資格が不要なため、見極めが難しい |
基本的に、ソフトな施術が多く、即効性を感じやすいのが特徴で、痛みが弱い方でも比較的受けやすい施術です。
しかし、日本国内では国家資格不要で施術できるため、技術力があり、信頼できる施術者を選ぶ必要があります。
整骨院
整骨院では、「柔道整復師」という国家資格を持った施術者が、筋肉や関節の歪みや凝りを調整してくれます。
【特徴】・国家資格者(柔道整復師)が筋肉・関節のバランスを整える・ケガや痛みにも対応可能 【費用感】・保険適用あり・自由診療の場合は、3,000〜6,000円程度(1回あたり) 【向いている人】・日常的な腰痛や肩こりに悩んでいる人・保険診療で施術を受けたい人 【メリット】・国家資格者による施術だから安心できる・痛みや不調にも対応してもらえる 【デメリット・注意点】・美容目的や軽度な歪みの場合は、自由診療になる場合がある |
慢性的な腰痛や肩こり、姿勢の崩れなど、身体の不調やマイナートラブルの原因を根本から改善を目指します。症状によっては、保険が適用されるケースもあり、リーズナブルな価格で施術を受けられるのが特徴です。
しかし、すべてのケースにおいて保険適用となるわけではありません。特に、美容目的の施術の場合は、自由診療となることが多く見られます。希望する施術内容や費用については事前に確認しておくと安心です。
整形外科
整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像診断を用いて、骨や関節の状態を医学的に正確に診断してくれます。
【特徴】・医師による診察・画像診断ができる・医療機関のため、必要に応じて投薬・リハビリも行える 【費用感】・保険適用あり・診療内容によっては、自由診療となるケースもある 【向いている人】・強い痛みやしびれがある人・椎間板ヘルニアや骨の変形などの疑いがある人・医師の診断を受けたい人 【メリット】・根本的な原因を特定できる・医療行為を受けられる・レントゲン・MRIでの診断が可能 【デメリット・注意点】・日常のケアや姿勢改善までは対応してもらえない・予約が必要だったり、待ち時間が長かったりするケースが多い |
普段から、強い痛みやしびれがある人や椎間板ヘルニアや骨の変形などの疑いがある人は、医療機関である整形外科の受診をおすすめします。疾患の有無を確認したうえで、必要に応じてリハビリや投薬、装具療法などが提案してくれるでしょう。
ただし、日常のケアや姿勢改善までは対応してもらえない点は、理解しなければなりません。
セルフケア
家事や育児、介護、仕事などを理由に通院が難しい方や、日々の姿勢改善を習慣にしたい方には、セルフケアによる骨盤調整がおすすめです。
【特徴】・自宅でストレッチやエクササイズを行うセルフメンテナンス法・オンラインレッスンも人気がある 【費用感】0円〜1万円程度 【向いている人】・通院が難しい人・軽度の歪みや姿勢のクセを直したい人・骨盤が歪まないようにトレーニングを習慣化させたい人 【メリット】・自分のペースで続けられる・費用を抑えられる・無理のない範囲でケアできる 【デメリット・注意点】・効果が出るまでに時間がかかる場合もある・自己流や誤ったやり方の場合は、逆効果になる恐れがある |
ストレッチやエクササイズを通じて、歪みの原因となる筋力の左右差や筋肉の強張りの改善が期待できます。
自宅で手軽に実践できるものが多く、継続しやすい点も大きなメリットです。
最近では、スマートフォンやパソコンで気軽に受講できるオンラインサービスも増えてきており、専門家による正しく、安全なケアが可能となります。
正しい姿勢を保つために意識したい生活習慣
骨盤の歪みを解消しても、良い状態を維持する生活習慣がないと、すぐにもとに戻ってしまう恐れがあります。
正しい姿勢を保つために意識したい生活習慣は、次のとおりです。
・日常のクセを改善する
・筋トレやトレーニングを習慣化させる
・筋肉の凝りをほぐすためにストレッチを習慣化させる
それぞれのポイントをわかりやすく解説します。
日常のクセを改善する
骨盤の歪みの多くは、日々の何気ないクセの積み重ねによって生じるものです。
例えば、いつも同じ足を組んでしまったり、片足に重心をかけて立ったりなどの動作は、骨盤の傾きや歪みが生じる原因となります。
まずは、日頃の行動を客観的に見直して、骨盤のバランスを整えるように意識することが大切です。
ここからは、骨盤が歪みにくい座り方とたち方を具体的についてみていきましょう。
骨盤が歪みにくい座り方
一般的に、次の座り方は「骨盤を歪ませる危険な座り方」といわれています。
・ぺたんこ座り(正座の状態からお尻を床につける座り方)
・横座り(正座の姿勢からお尻を片一方にずらす座り方)
・背もたれに強くもたれかかる
・足を組んで座る
・あぐら座りで猫背の状態になる
骨盤を歪みにくくするためには、次のポイントを押さえて正しい方法で座ってみましょう。
・骨盤を床に垂直に立てて、左右の坐骨に均等に力が加わるように座る
・正面を向く
・頭を前に出さない
背もたれのある椅子に座る際は、背もたれにお尻があたるように深く腰掛けて、背もたれに背中を軽く沿わせるように意識してください。
身体が曲がった状態では、左右の坐骨に均等に力が掛からなくなるため、必ず正面を向くことも大切なポイントです。さらに、頭が糸で引っ張られているように意識することで、正しい姿勢を維持することができます。
骨盤が歪みにくい立ち方
立っているときの姿勢も、骨盤の歪みに大きく関係しています。
一般的に、次のような立ち方は骨盤が歪んでしまう原因となるため、注意が必要です。
・クロス立ち(足を交差した立ち方)
・片足立ち
・反り腰
特に、片足に体重をかけて立つクセがあると、骨盤が傾いたり、ねじれたりする恐れがあります。
骨盤の歪みを生じさせない、悪化させないように立つには、次の3つのポイントを押さえてください。
・足を肩幅に開き、つま先をまっすぐ前に向ける
・膝が伸び切りすぎないように注意して、腰にかかる負担を軽減する
・骨盤を垂直に保つように意識する
足を肩幅に開くことで、両足裏に均等に体重が分散します。
また、ひざをロックしすぎないことで、腰にかかる緊張や強張りが軽減するでしょう。
さらに、骨盤を床からみて垂直となるポジションをキープして、下腹で体を支えるように意識するのがポイントです、肩の力を抜いてリラックスした姿勢を心がけてください。
また、長時間の立ち仕事や電車通勤などをする際は、骨盤ベルトやサポーターの活用も、歪み予防に効果的です。
筋トレやトレーニングを習慣化させる
骨盤を正しい位置に保つためには、骨盤を支える筋肉のバランスがとても大切です。なかでも、インナーマッスルやお尻まわりの筋力が弱まると、骨盤が歪みやすい体になってしまいます。
運動習慣がない方は、ウォーキングなどの軽めの有酸素運動から取り組んでみましょう。ワイドスクワットやプランク、ヒップリフトなどの骨盤まわりの筋肉を適度に動かすトレーニングなども、自宅で手軽にできるのでおすすめです。
デスクワークが多い方も、こまめに椅子から立ち上がったり、ストレッチをしたりすることで、血流やリンパの流れが促進されますよ。
筋トレやトレーニングは、無理なく続けることがポイント。毎日継続することで、身体の巡りをサポートできますよ。
筋肉の凝りをほぐすためにストレッチを習慣化させる
筋肉が凝り固まっている状態や筋肉が緊張している状態では、骨盤の歪みやすくなります。特に、股関節や太もも裏の筋肉が硬くなると、骨盤が引っ張られて歪みやすくなるため、注意が必要です。
毎日のストレッチを習慣化することで、骨盤まわりの筋肉の柔軟性が高まり、美しい姿勢をキープしやすくなります。
ストレッチはお好きなタイミングでOK。起床後や入浴後、就寝前など、リラックスした状態で行うと解れやすくなるため、より効果的です。
【目的別】骨盤の歪みを整えるストレッチ&トレーニング
骨盤の歪みを整えるには、日常の中に無理なく取り入れられるエクササイズを習慣化するのがおすすめです。
ここでは、目的やシーンに合わせたおすすめのストレッチ&トレーニングをご紹介します。
寝ながらできるストレッチ&トレーニング
就寝前や起き抜けのタイミングにぴったりなのが、寝たままできるストレッチ&トレーニングです。産後のママでもトライしやすいものばかりですので、ぜひ挑戦してみましょう。
仰向けストレッチ
1. 仰向けの状態で、両手は体側に沿わせてリラックスしておく
2. 両ひざを肩幅に広げて、90度に曲げる
3. 鳩尾(みぞおち)から上の上半身は固定した状態で、骨盤から下を左右にねじる動作を10回繰り返す
4. 片方の足は膝を天井に向けて固定した状態で、反対の足を内側にねじる
5. 左右交互に10回繰り返す
上半身が床から浮かないように意識しながら、痛みを感じない範囲で行いましょう。
両ひざ抱えストレッチ
1. 仰向けに寝転んだ状態で、両ひざを抱える
2. 左右対称の円をイメージしながら、股関節を大きく回す
3. 10回回したら、反対方向にも10回回す
両ひざを抱えたまま寝る動作がつらい場合は、頭の下に枕やタオルなどを敷いてみましょう。
両ひざ倒しストレッチ
1. 腰幅よりも少し広い幅で両脚を開く
2. 両ひざを立てる
3. 鳩尾(みぞおち)から上を固定した状態で、骨盤を前に傾けたり後ろに傾けたりする
4. 深呼吸しながら、背骨を一つ一つ動かすイメージでゆったりと行う
股関節も緩むため、身体の巡りをサポートできます。座る機会が多い人は、積極的に取り入れてみましょう。
座りながらできるストレッチ&トレーニング
デスクワーク中やテレビを見ながらなど、座ったまま行えるストレッチは、日常のすき間時間におすすめです。
骨盤ストレッチ
1. 椅子に浅めに腰掛ける
2. 胸を持ち上げた状態で、骨盤を前に傾けたり後ろに傾けたり前後に動かす
3. ゆっくりと深呼吸をしながら20秒間繰り返す
骨盤を起点にして行うように意識するのがポイントです。頭は身長計を軽く上に向かって押すようなイメージで、背中全体が丸まらないように意識してください。背中が前の方に傾きすぎたりしないように注意しましょう。
座ったままできるもも裏ストレッチ
1. 椅子に背筋を伸ばして座る
2. 片方の足首を反対の足の太ももに置く
3. おへそが一番遠くを通るようなイメージで股関節から前屈する
4. 脱力した状態で20〜30秒キープしながら、深呼吸を繰り返す
5. 片方の足が終わったら、反対の足も同様に行う
もも裏やお尻の筋肉が伸びる感覚を味わえるはずです。椅子があれば誰でも手軽にできるストレッチですので、ぜひ習慣化してくださいね!
立ちポーズで行うストレッチ&トレーニング
すきま時間で簡単にできる立ちポーズで行うストレッチ&トレーニングを紹介します。
立ったままできる!鼠径部ストレッチ
1. 立ったまま片足を持ち上げる
2. 上げた足のひざを両手で抱えて胸の方に引きつける
3. 足を上げた方のお尻の筋肉が伸びたら、深呼吸をしながら20秒間キープする
4. 左右の足を入れ替えて同様にストレッチをする
脚の付け根の前側にある「腸腰筋」をほぐすストレッチ方法です。反り腰や仰向けに寝ると腰が痛む方に、特におすすめです。片足立ちだとぐらぐらしてしまう場合は、片手を壁やテーブルなどについて体を支えながら、片手で足を引き寄せてみましょう。
内ももストレッチ
1. 四股(しこ)踏みのように、膝やつま先を外向きにした状態で両脚を左右に開く
2. 両手を膝につけて、股関節とひざ関節をそれぞれ90度くらいになるまで腰を落とす
3. 右肩を中に入れ込むように左を向く
4. 股関節とひざをさらに外側に開くように、内ももを伸ばす
5. 20秒間キープしながら、深呼吸をする
6. 正面に戻したら、反対側も同様に行う
内ももはもちろん、背中や背骨、肩まわりのストレッチとしても効果的です。背中が丸まらないように注意しながらやってみてください。
インナーマッスルを鍛えるストレッチ&トレーニング
骨盤の安定に欠かせないのが、インナーマッスルの強化です。
特に、「腹横筋」や「骨盤底筋」といった身体の内側の筋肉をトレーニングすることで、美しい姿勢を維持しやすくなり、骨盤が歪みづらい身体づくりができます。見た目の変化だけでなく、女性特有の悩みの手助けにもつながる
【座ったままできる】骨盤底筋トレーニング
1. 椅子に骨盤を立てるように意識をして座る
2. 坐骨とつむじの距離を話すようなイメージで背骨をピンと伸ばす
3. 内ももに挟んだペットボトル(500ml)を軽く潰す
4. ペットボトルを潰した状態のまま鼻から息を吸う
5. 息を吐くタイミングで内ももを引き込むイメージで膣を引き上げる
最近人気を集める「膣トレ」の一種です。骨盤底筋にしっかりアプローチしながら、骨盤の歪みや骨盤底筋の運動不足の解消にもつながります。
【仰向けバージョン】骨盤底筋トレーニング
1. 仰向けの状態で両ひざを立てる
2. 両手の親指を骨盤の前の骨の内側に当てる
3. 鼻から息を吸って、背中を膨らませる
4. ゆっくりと息を吐きながら、優しく膣を引き上げる
5. 5〜10回を目安に繰り返し行う。
細く長く息を吐き続けていくと下腹が薄くなる感覚があるはず。親指を当てている部分の筋肉が硬くなる感覚があれば、正しくできている証拠です。
まとめ|骨盤の歪みは日常ケアと正しい方法で整えよう
骨盤の歪みは、見た目のスタイルだけでなく、身体の不調や疲れやすさの原因にもつながります。日常の姿勢やクセを見直し、ストレッチやトレーニングを習慣化することで、誰でも骨盤の歪みは改善できるものです。
「整体に通っても元の体型に戻ってしまう」
「何から始めたら良いかわからない」
このようにお困りの方は、無理なくセルフケアを始めてみませんか?
著者: yumicorebody