中高年になると尿漏れを経験する方が増え、特に出産を経験した女性では多くみられます。
不安から外出が億劫になったり、自分に自信を失したりと精神的に大きな問題となる場合もあります。
今回は、尿漏れを改善するための体操について、その方法や対策をご紹介します。
1.尿漏れとは?恥ずかしいと思わなくて大丈夫!
咳やくしゃみ、子どもとトランポリンや鬼ごっこをしているときなどに尿漏れしてしまった・・・!という経験はありませんか?主にお腹に力が入ったときに自分の意思とは関係なく、尿が漏れ出てしまうことを「尿漏れ」といいます。
女性は男性に比べて尿道が短いことに加えて、骨盤の下側から内臓を支え排尿コントロールにも働いている「骨盤底筋」が妊娠・出産によってダメージを受け、機能が低下しやすくなっています。そのため男性より女性の方が、尿漏れを経験する方が多く、40代以上の女性の約4割は尿漏れを経験したことがあるとされています。
かくいう私も尿漏れ経験者ですが、そんなに頻繁に起こるわけではないし、痛みがあるわけではないし、出産の代償として仕方ないのかなと、出産からの時間が経てばそのうちよくなるかなと様子をみていました。そして何よりも恥ずかしいという理由から誰かに打ち明けたり病院を受診することなく、そのまま胸の内に秘めていました。
しかし、骨盤底筋の機能低下は、尿漏れだけでなく子宮や膣が膣の外側に出てきてしまう骨盤臓器脱(子宮脱や膣脱)、浴槽からあがるときに膣に入ったお湯がざーっと出てくる「湯漏れ」、性交痛などの原因にもなります。
だからこそ今のうちに自分の身体について理解し、きちんと対処することが必要なのです!
・尿漏れの原因の1つは骨盤底筋の筋力低下!
私たちの身体は、体内で作られた尿を膀胱に溜め、一定量溜まると脳が尿意を感じ(約200mlで軽い尿意、約400mlで切迫した尿意)トイレに向かいます。そして排尿してよい環境になると、尿道括約筋を緩め、腹圧をかけることで尿を体外に排出します。
この流れがうまくいっていれば尿漏れ(尿失禁)をしてしまうことはありませんが、なんらかの機能が低下することによって尿意を感じてから排尿するまでの流れがうまくいかないと尿漏れを起こしてしまいます。
多くは加齢による骨盤底筋の筋力低下、妊娠時に子宮の重みで骨盤底筋が引き伸ばされてしまったり出産時に骨盤底筋を傷つけてしまうなどして骨盤底筋の機能が低下して起こるものですが、脳や膀胱周囲の疾患によって機能の異常をきたす場合もあります。
・尿漏れの種類
尿漏れは主に4種類に分別されます。
(1)腹圧性尿失禁
骨盤底筋の機能低下により咳やくしゃみ、重い物を持ち上げる時など腹筋に力が入った時に尿が漏れてしまうもので、出産を経験した女性や中高年層に多くみられます。
(2)切迫性尿失禁
脳血管障害、前立腺肥大、膀胱瘤や子宮脱といった疾患により脳からの排尿の指令がうまくいかず、急にトイレに行きたくなって我慢できず失禁してしまうものをいいます。
(3)溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
膀胱周囲の神経がうまく機能せずスムーズに排尿はできないけれど少しずつ尿が漏れ出てしまう状態で、
中高年の男性に多くみられます。
(4)機能性尿失禁
認知症や足腰の機能低下により自分でトイレに行くこと自体が困難になってしまい失禁してしまうものをいいます。
2.尿漏れに効く体操はちつトレ
尿漏れ改善のために自宅で簡単にできるちつトレをご紹介します。
・エクササイズ:ちつトレ
足の裏がしっかり床につく椅子に座り膝にペットボトルをはさみます。足は拳1つ〜1.5個分あけ指先は真っ直ぐにします。
息を吸ってお腹に空気を入れ、息を吐きながらペットボトルを軽く潰すように内腿を寄せて膣を優しくひきあげます。
◎ターゲットマッスル
骨盤底筋、内転筋
◎ポイント
つま先が外に向かないようにする。
背筋を伸ばして行う。
◎目安(時間・回数)
10回×2セット
YumiCoreBodyオンラインレッスンでは、ここで紹介しきれないレッスンを毎月更新しています。おうちで好きなときに好きなだけ動画レッスンが受けられるので、自分自身が本来持っている骨盤底筋の力を引き出し、元に戻らない骨盤づくりをサポートします。興味のある方はサンプル動画レッスンからぜひチェックしてみてください!
「YumiCoreBodyオンラインレッスン」はこちらから!
3.尿漏れストレスさようなら!ちつトレで骨盤底筋を鍛える
ちつトレを行うと、尿漏れ改善のほかにも女性にとってうれしい効果が期待できますのでご紹介します。
・ボディメイク、曲線ボディをつくる効果がある
ちつトレでは骨盤底筋を鍛えます。骨盤底筋は内臓を下から支えている筋肉なので、出産や加齢によって下がりがちな内臓の位置を高め、緩んだ下腹を引き締めます。
また、インナーマッスルである骨盤底筋がしっかりすることで腹筋や背筋などアウターマッスルの機能も高まり、基礎代謝が上がって痩せやすい身体になります。
・姿勢が良くなる
骨盤底筋の機能が高まると、出産によって緩み、不安定になっている骨盤を安定させます。全身の中心である骨盤の状態が安定することで、その上にある背骨のゆがみが整って猫背や反り腰が改善し、姿勢が良くなります。
4.ちつトレにプラスしたい習慣
ちつトレの効果をさらに高めるために、日常生活に取り入れたい習慣をご紹介します。
・意識的に締めて緩めるを繰り返す
ちつトレは骨盤底筋を収縮させる練習ですが、体操を行っている時間は1日のうちでもほんのわずかです。
それ以外の時間に全く意識なく、だらんとしてしまっているとせっかく筋肉の機能を習得してもなかなか効果が現れません。立って家事をしながらでも、意識的に締めたり緩めたりを繰り返すことで体操の効果が高まりますので、思い出す度に何度も行いましょう。
・規則正しい生活習慣で自律神経を整える
規則正しい生活を心掛けることは健康のためには基本的なことですが、尿漏れにも少なからず関係があります。早寝早起きや食生活を整えることで自律神経のバランスが整います。排尿は交感神経(主に興奮に作用する)や副交感神経(主にリラックスに作用する)をうまくコントロールすることが必要なので、自律神経がうまく機能することで尿漏れの改善にもつながります。
・適度な運動と”ながら”トレーニングを取り入れる
骨盤底筋などのインナーマッスルは座っている時や立っている時、歩いている時にも姿勢を保持するために常に働いています。だらんと脱力した姿勢で座りっぱなしの時間が長い方や運動量の少ない方は、骨盤底筋を使うことが少ないので、機能が低下しやすくなります。
ちつトレに加えて、ウォーキングやジョギングなどの適度な運動を取り入れることで、骨盤底筋を鍛える頻度を増やし、尿漏れ体操の効果をより高めることができます。
また、なかなか運動を習慣づけることが難しい方は、近くへのお出かけを自動車から歩きに変えてみたり、エレベーターを階段に変えてみるなど少しずつ運動の機会を増やすほか、先ほどご紹介したちつト medical imaging レを信号待ちや行列に並んで待っているときなどに意識してやってみましょう!。
まとめ
今回は、尿漏れについてその原因や種類、改善するための体操や生活習慣についてご紹介しました。
症状が気になる場合は、専門の医師を受診して身体の異常がないか確認し、適切な治療をしてもらうことが大切です。
場合によっては膣をタイトにする手術(インティマレーザー)が適応になる場合もありますが、ご紹介したちつトレや生活習慣の改善によって症状が改善すれば、その方が身体への負担も少なく、うれしいですよね!
多くの方が経験することなので、恥ずかしがらずぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。
YumiCoreBodyオンラインレッスンでは、おうちで好きなときに好きなだけ、インナーマッスル筋肉のほぐし方やストレッチ、トレーニングの動画レッスンが受けられます。自分自身の力で、元に戻らない骨盤づくりをサポートします。興味のある方はサンプル動画レッスンからぜひチェックしてみてください!
「YumiCoreBodyオンラインレッスン」はこちらから!
投稿者プロフィール
-
Yumi Core Body編集部
国立大医学部卒。スポーツ整形クリニックで勤務後、現在は病院勤務で訪問リハビリ業務に従事。二児の母。理学療法士免許。