更新日: 2026.4.29
股関節を曲げたり捻った時に感じる「つまり」感とはどのようなものなのか、わかりやすくご説明します。また股関節を正しい位置へと導くストレッチや、ほぐしのやり方についてもご紹介します。
■股関節のつまりとは?

まずは、股関節のつまりを理解するために、股関節の構造や動き方について解説します。
・股関節は球関節
股関節は、左右の脚のつけ根にある関節です。骨盤の骨「腸骨(ちょうこつ)」の外側にある窪み「臼蓋(きゅうがい)」に太ももの骨の上端にある球状の部分「大腿骨頭(だいたいこっとう)」がはまる形で関節をなしています。この構造上の特徴から股関節は「球(きゅう)関節」という種類に分類されます。
・股関節は色々な動きができる万能関節!
球関節である股関節は、膝や肘関節のように曲げ伸ばしだけができる構造とは異なり、前後(屈曲/伸展)、左右「内転(ないてん)」/「外転(がいてん)」、捻り「内旋(ないせん)」/「外旋(がいせん)」と、たくさんの方向や種類の動きが可能で、とても自由度の高い関節です。それらの動きを組み合わせてぐるぐると回す「分回し(ぶんまわし)運動」というとても大きな運動も行うことができます。
一方で、球関節は運動の幅が広いために動きが大きい関節です。きちんと関節がはまった状態でないと、十分な可動域が得られず、周りの筋肉も力を十分に発揮することができません。
・股関節のつまりとは?
「股関節のつまり」感とは、股関節の運動時に鼠径部(そけいぶ:股関節のつけ根前面)に違和感やひっかかり感を覚える状態をいいます。しゃがむなど股関節を深く曲げる動作や、座ったまま上半身を捻るなど股関節の捻り動作を行うときに多く、つまり感の強い場合は車の乗り降りや階段昇降など、軽い股関節の曲げ伸ばしでもつまりを感じることがあります。
このつまり感は、主に股関節周囲の筋肉が硬くなっていることによって起こるとされています。球関節である股関節の周りには、様々な動きに対応できるように前後内外にたくさんの筋肉があり、股関節の動きに合わせて柔軟に伸び縮みします。しかし筋肉が硬くなってしまうと、股関節の動きが崩れ、スムーズに動かしづらくなることでつまり感につながりやすくなります。つまり感の原因として多いのは、お尻の筋肉や鼠径部の筋肉、腸腰筋などの硬さです。
なお、つまり感に強い痛みが伴う場合や、長期間続く違和感がある場合は、自己判断せずに整形外科などの専門医に相談することをおすすめします。
■股関節のつまりの原因は?

股関節のつまりの主な原因は、股関節周囲の筋肉の硬さです。筋肉が硬くなってしまう原因について解説します。
・姿勢不良
骨盤が後傾し、腰が落ちた不良姿勢は、お尻やもも裏の筋肉が短縮した肢位になる上に、後方重心になってそれらの筋肉に負担をかけるため、筋肉が硬くなりやすくなります。骨盤の前後傾が整ったまっすぐな姿勢を意識することが大切です。
・運動不足・座りっぱなしのデスクワーク
座りっぱなしのデスクワークが多い方や、普段から歩いたり股関節を動かすことが少なく運動不足になりがちの方は、筋肉が硬くなりやすく、股関節のつまりにつながります。長時間座った姿勢が続くと、股関節の前面にある「腸腰筋(ちょうようきん)」が縮んだままになり、立ち上がった際にスムーズに伸ばしづらくなります。できるだけ歩きや自転車で移動するように心がけたり、朝や夜寝る前に簡単なストレッチをして股関節周りの筋肉をほぐす習慣をつけると、股関節を正しい位置へ導きやすくなります。
・立ちっぱなしなど股関節への負担が大きい
立ちっぱなしが長時間続いたり、重いものを持ち上げることが多いなど股関節への負担が大きすぎると、周りの筋肉が疲労して硬くなってしまい、股関節のつまりにつながります。お仕事の事情などで負担を軽減できないなどやむを得ない場合は、筋疲労を取り除くために、日々のストレッチなど適切なケアを心がけましょう。
・股関節の筋力不足
加齢や運動不足により、股関節周りの筋力が低下してくると、少ない筋力で股関節の動きを支えることになるため、筋力が十分な状態に比べてお尻や鼠蹊部の筋肉にかかる負担が大きくなります。筋肉が常に頑張りすぎることで硬くなり、つまり感の原因になります。ストレッチやほぐしなど、筋肉を柔らかくするためのケアとともに、筋力を維持するための適度な運動も行いましょう。
■股関節のつまりを感じやすい人の特徴・セルフチェック
股関節のつまりは、日々の姿勢や生活習慣、運動量などによって感じやすさが大きく変わります。ここでは、ご自身が「つまりを感じやすい状態」になっているかどうか確認できるセルフチェックリストをご紹介します。
・こんな方は股関節のつまりを感じやすいかも
- 1日のうち長時間(4時間以上)座っていることが多い
- 運動する習慣がほとんどない
- 立ち仕事や中腰での作業が多い
- 歩幅が小さく、ちょこちょこと歩く癖がある
- 反り腰や猫背の姿勢を指摘されたことがある
- あぐらをかくと膝が高い位置で止まってしまう
- しゃがみ込んだときにかかとが浮く、もしくは後ろに倒れそうになる
- 階段を上る際や立ち上がる際に脚のつけ根に違和感を感じる
3つ以上当てはまる方は、股関節周辺の筋肉が硬くなっている可能性があります。後ほどご紹介するストレッチを毎日の習慣に取り入れてみましょう。
・簡単セルフチェック「股関節の柔軟性テスト」
股関節周辺の柔軟性を確認できる、自宅でできる簡単なテストをご紹介します。
【しゃがみ込みテスト】
- 足を肩幅くらいに開いて立ちます。
- かかとを床につけたまま、ゆっくりとしゃがみ込みます。
- かかとが浮かず、後ろに倒れずにしゃがみ込めるかを確認しましょう。
かかとが浮いてしまう、または後ろに倒れそうになる場合は、股関節やお尻、足首周辺の筋肉が硬くなっている可能性があります。
【あぐらの高さチェック】
- 床にあぐらをかいて座ります。
- 両膝が床にどのくらい近づくかを確認します。
膝が床から大きく浮いてしまう場合は、股関節の柔軟性が低くなっているサインです。日々のストレッチで少しずつ筋肉を柔らかくしていきましょう。
※テスト中に痛みを感じる場合は無理をせず中止し、症状が続く場合は専門医にご相談ください。
■股関節を緩めてつまりケアするメリットは?

股関節を緩めると、つまり感のケア以外にも様々なメリットがありますのでご紹介します。
・股関節周りの関節への負担軽減につながる
球関節であり、大きな動きが可能である股関節が十分に動かせると、その分腰や膝といった周りの関節への負担が軽減されやすくなります。
・歩幅が広がり、動きやすさを感じやすくなる
股関節が大きく動かせると、歩くときの脚の運びが大きくなりやすく、無理のない動きで歩くことが期待できます。跨いだり、しゃがんだりと日常生活の様々な動きも、無理なくこなしやすくなるでしょう。
・下半身の巡りのサポートに
股関節周りの筋肉を柔らかくすると、その周囲はもちろん、下半身全体の血流の巡りをサポートする手助けになります。むくみや冷えが気になる方は、日々のストレッチに股関節ほぐしを取り入れてみてはいかがでしょうか。
・姿勢のバランスが整いやすくなる
股関節は骨盤と直接つながっているため、股関節周辺の筋肉が柔らかい状態になると骨盤の傾きが整いやすく、結果として全身の姿勢のバランスにも良い影響を与えます。反り腰や猫背の予防意識を持つうえでも、股関節ケアは大切な習慣の一つです。
■自分でできる!股関節を緩める方法

股関節のつまりを和らげるために、股関節周りの筋肉を緩める方法と、股関節をうまく使うための簡単なエクササイズをご紹介します。
・まずはボールでお尻ほぐし
1.筋膜リリースボール(テニスボールなどでも代用可)が骨盤の真横に当たるようにボールに乗り、肩の真下に肘がくるように床に肘を付いて横向きになります。
2.息を吸って、吐いた時にボールに沈み込むように圧をかけていきます。
3.身体を縦に小さく10秒程度動かしてほぐしていきます。
4.動きを止めたら、上側の足を膝を立てて後ろに付き、下の足を遠くに伸ばしていきます。
5.伸ばした足を膝を曲げて胸の方に寄せていきます。
6.この動きを10〜20回繰り返します。
自分でマッサージしようとしてもなかなか手の届かないお尻や腰周りの筋肉もしっかりほぐすことができるので、硬くなった筋肉のケアにぜひ使ってみてください!
・お尻のストレッチ(大殿筋)
1.右足を前に出してお姉さん座りになり、右足のすねは真横にします。
2.背骨を長く伸ばしながら両肘を前につきます。
3.鼻から息を吸って、吐いて10秒キープします。
4.足を入れ替えて、反対側も同様に行います。
・お尻の横ストレッチ(中殿筋)
1.仰向けに寝て両手を真横に広げます。
2.右股関節、膝関節を90度程度に曲げ、左脚を乗り越えて左側にくるように腰を捻ります。
3.右側の腰や背中、お尻に伸張感を感じたらそのまま姿勢を20秒程度キープします。
4.右脚をゆっくり元に戻したら、左右を入れ替えて左側も同じようにストレッチします。
・股関節を正しく使おう!ブリッジエクササイズ
1.仰向けに寝て両膝を立て、両足は腰幅にします。
2.息を吐きながらゆっくりとお尻を浮かせ、背骨も下から順番に浮かせていきます。
3.身体を横から見たときに、頭から膝までが一直線になる姿勢までお尻を持ち上げたら一旦動きを止め、背骨の上の方から順番にゆっくりと下ろしていきます。
4.5〜10回繰り返し行いましょう。
■股関節のつまりに関するよくある疑問Q&A
股関節のつまりについて、よく寄せられる疑問にお答えします。
Q. ストレッチを始めてどれくらいで変化を感じる?
筋肉の硬さや日常生活での負担のかかり方、ストレッチの頻度などによって個人差があります。一般的には毎日続けることで、少しずつ動きやすさを感じる方が多いとされています。1〜2回行っただけで結果を求めず、少なくとも数週間は継続して取り組んでみましょう。一時的にストレッチを行っただけでは、再び筋肉が固まりやすくなるため、毎日の習慣として取り入れることが大切です。
Q. 「腸腰筋」って何?股関節のつまりとどう関係している?
腸腰筋(ちょうようきん)は、腰の骨(腰椎)と太ももの骨(大腿骨)をつないでいるインナーマッスルで、股関節を曲げる、脚を持ち上げる、姿勢を保つといった働きを担っています。長時間の座り姿勢が続くと腸腰筋が縮んだまま硬くなりやすく、立ち上がる際に股関節がスムーズに伸びず、「つまり」を感じる原因になることがあるとされています。デスクワーク中心の方は特に意識してケアしたい筋肉です。
Q. ストレッチをしても改善しない場合はどうすればいい?
セルフケアを続けてもつまり感が改善しない場合や、痛みが伴う場合、長期間違和感が続いている場合は、自己判断せずに整形外科などの医療機関に相談することをおすすめします。股関節の構造的な問題や、他の疾患が隠れている可能性もあるため、専門医による評価を受けることが大切です。
Q. ストレッチで痛みを感じたら続けても大丈夫?
ストレッチは「気持ちよく伸びる」程度の強度で行うのが基本です。鋭い痛みや違和感を感じた場合はすぐに中止しましょう。痛みを我慢して続けると、かえって筋肉や関節を傷める原因になります。可動域を広げることを焦らず、無理のない範囲で続けることが何よりも大切です。
Q. 股関節ケアはどのくらいの頻度で行うのがベスト?
毎日少しずつ行うのが理想的です。1日1回、5〜10分程度のストレッチを朝の起床後や就寝前など、決まった時間に取り入れる習慣をつけるのがおすすめです。デスクワーク中心の方は、1時間に1回立ち上がって股関節を動かすだけでも血流の巡りをサポートしやすくなります。
■まとめ
今回は、股関節の違和感にもつながる「つまり」について、どのような状態なのか、つまり感の原因やケア方法をご紹介しました。股関節は上半身と下半身を繋ぎ、様々な動きの中心となる関節です。柔軟性を保ち、動かしやすい状態を維持することは全身の動きやすさにもつながりますので、股関節のつまりを感じる方はもちろん、感じていない方も、ぜひ股関節ほぐしを始めてみてください!
また、痛みを伴うつまり感や、長期間続く違和感がある場合は、自己判断せずに専門の医療機関にご相談ください。
著者: 中村倫美



