【理学療法士が解説】女性に多い股関節が固くなる原因とは?柔らかくするためのストレッチもご紹介

股関節が硬すぎると足が開脚できず、無理な姿勢を取ったり、腰痛などの原因になったりします。赤ちゃんの頃から硬いという方を除いて、股関節がなかなか柔らかくならないとお悩みの方に簡単なストレッチ方法、ストレッチの際のポイントについてご紹介しましょう。

■股関節が硬くなる原因

股関節が固くなる原因まずは股関節とは一体どんな関節なのか、股関節が固くなる原因について解説しましょう。

・股関節とは

股関節は骨盤にあるくぼみに、大腿骨の前端の丸い部分がはまり込むような形をしており、動きのバラエティーがたくさんあります。関節の周囲には靭帯(じんたい)や小さな筋肉が付着して股関節を支え、さらに表層には太ももの筋肉や臀筋(でんきん)と呼ばれるお尻の筋肉が股関節を6方向へ動かします。

また股関節は体を支える関節であり、立つ、座る、歩くなど日常生活動作に大きく作用します。つまり股関節が硬くなると、様々な動作に制限を生じたり、不具合を生じたりするのです!

なぜ股関節が硬くなる?そのメカニズムとは?

股関節が硬くなる=股関節の可動範囲が狭くなるということです。可動範囲が狭くなる原因は、日常生活で使用する関節の可動範囲が狭いことが考えられます。例えば、歩幅を最大限にして歩くのと、日常で歩く足の歩幅とは股関節の可動範囲が大きく異なります。しかし日常生活で歩幅を最大限にして歩くことはありません。また、180度近く開脚できる方も、日常生活の上で180度を開脚する姿勢をとることは稀であり、ストレッチの場面以外ではそのような姿勢をとることもありません。

ですから、股関節が硬くならないようにストレッチを行い、その可動範囲を保つ必要があるのです!

女性に多い生まれつき股関節が硬い人も。その場合は無理しないで。

生まれつき股関節が硬いという方もいらっしゃいます。子供の頃、先天性股関節脱臼と診断を受けたことがある方は、股関節が構造的に浅く、股関節の動きが制限されます。この先天性股関節脱臼は、女児に起こりやすく家族や親戚に同じような症状を持つ人に起こりやすくなります。

先天性股関節脱臼の場合には股関節が硬いからといって、過度のストレッチを行うと痛みが生じたり、最悪の場合には脱臼してしまうということもあるので、診断を受けたことがある方は無理はしないようにしましょう!

 

■股関節を柔らかくするメリット

股関節を柔らかくするメリット股関節が柔らかくなることでどんなメリットがあるのか、解説しましょう!

・疲れにくく、痩せる体になる!

股関節が硬いということは周囲の筋肉が硬く、血流が悪いため筋肉中に溜まった老廃物を外に出すことができません。

股関節が柔らかくなると、周囲の筋肉の伸びやすさも改善され、血管の流れが良くなります。筋肉が働く際にはエネルギーが必要であり、血液の循環が良くなると酸素や栄養素を含んだ血液が筋肉に行き届くため、疲れを感じにくくなります。また、血液循環が良くなるとエネルギーを筋肉で消費しやすくなり、カロリー消費ができます。つまり痩せる体になる!ということですね!

・股関節が柔らかくなると便秘、ぽっこりお腹が解消!

股関節が柔らかくなると周囲の筋肉も柔らかくなり骨盤が前傾しやすくなるため、重心のバランスを取りやすくなり姿勢が良くなります。背筋の一部である脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)は骨盤に付着しており、骨盤の動きが良くなることで背筋、またそれに相対する腹筋も働きやすくなります。つまりこの2つの効果により、姿勢不良の改善と腹筋・背筋の機能改善により、内臓の下垂を防止することができます。内臓が本来の位置に戻ることで腸の動きも改善、ぽっこりお腹も改善されます!

・股関節の硬さが改善すると姿勢不良や腰痛も改善!

股関節が柔らかくなると筋肉の伸び縮みがしやすくなるため股関節での衝撃吸収がしやすくなり、座る、立つ、歩くなどの日常生活動作の際の腰への負担が軽減されます。このことにより、腰痛も改善されます!

また股関節の筋肉のほとんどが骨盤に付着しており、股関節が柔らかくなると骨盤が後ろに傾きにくくなります。姿勢に関係する腹筋や背筋も骨盤に付着しているため、骨盤が元の位置に戻ることで、筋肉が働きやすくなり姿勢不良が改善されます!

 

■股関節の硬さのチェック法

股関節の硬さチェック

股関節が硬いのか柔らかいのかわからないという方のために、チェック法をご紹介しましょう!

・自分の股関節の硬さを知ろう!股関節の硬さチェック

股関節は主に6方向に動きます。これらをチェックしておくことでストレッチを行った後の効果がよくわかります。

【前後方向への動き】

1.まずは仰向けに寝転がり、片足は床についたまま、もう片方の股関節と膝関節を曲げ、両腕で膝を抱えるようにして膝を胸につけるように引き寄せます。

2.股関節の曲がり具合と床についている足の太ももの裏のつっぱり感や床からどのくらい浮いているのかをチェックしましょう。

床についている足の膝裏が拳2個分以上持ち上がってくるのは、両方の股関節が硬いと考えられます。

【内側に曲げねじる動き】

1.仰向けに寝転びます。

2.片方の膝を両手で抱え、足の反対側の胸に膝をつけるように曲げます。痛みのない範囲で行ってください。痛みの出た位置や股関節の詰まり感、お尻のつっぱり具合をチェックしましょう!

膝の先端がお腹や胸につかない場合には、股関節の硬いと考えられます。

【開脚方向への動き】

1.床に、あぐらをかくように両足裏をくっつけた状態で座ります。

2.両手は両足の指を持ち、両膝の側面が床につくように手を使わずに膝を床に押し付けてください。

膝と床との隙間が拳1つ分以上、開いているときには股関節が硬くなっていると考えられます!

股関節の硬さは骨盤や背骨の影響も!股関節周りの硬さもチェックしよう!

背骨や腰の柔軟性も股関節の動きに大きく影響します。股関節だけではなく周辺の関節や筋肉の硬さもチェックしておくと良いでしょう。

【体幹の前後屈】

体幹の前後屈は、股関節の曲げ伸ばしにも大きく関与します。特にハムストリングスと呼ばれる筋肉は股関節をまたいでついているため、体幹の柔軟性にも大きく関与します。

1.足を軽く肩幅ぐらいに開いて立ちます。

2.膝を曲げずに両手が床に着くように前屈し、床に指がつくか、床からどの程度離れているか、ハムストリングスのつっぱり感をチェックしましょう。

指先が床に届かなかったら、背骨や骨盤、ハムストリングスや脊柱起立筋の硬さがあると考えられ、股関節の動きにも影響があると考えられます。

【体幹の側屈】

体幹の横方向への動き、側屈は股関節の開脚に関与します。

1.足を肩幅ぐらいに開いて立ち、骨盤の骨に手を当てます。

2.骨盤の骨に手を当てておき、左右が水平な状態で身体を横に倒しましょう。体を横に倒した時にどの程度倒せるのか、腰の筋肉のつっぱり具合、手を当てた骨盤の傾き具合などをチェックします。

体を横に倒した時に左右ともに50度より少ないと背骨が硬いと考えられます。鏡を用いて行うか、パートナーに確認してもらうと測定しやすいでしょう。

セルフチェック時のポイントと注意点

ご紹介したセルフチェックの際に気をつけたいポイントは、股関節のストレッチを再評価して効果を実感すること、日常的にセルフチェックを行い自分の股関節の硬さについて知っておくことが重要です。

またセルフチェックの際の注意点として、痛みがある場合は無理して行わないことが最も重要です。これはセルフチェックだけではなくストレッチの際にも言えることです。痛いけど気持ちいい、という範囲内にとどめておきましょう。

 

股関節のストレッチ方法

股関節のストレッチ法股関節を柔らかくしたいと思っているあなたに、ユミコア式の股関節ストレッチ法について解説します!ぜひ試してみてください。

・股関節を柔らかくするには太ももの前と後ろをほぐそう!

股関節を動かす筋肉の中でも太ももの前と後ろの筋肉は面積も広く、表層にあるのでほぐしやすい筋肉です。筋肉の面積が大きいのでローラーなどを使ってほぐすと効率的です。

【太もも前側】

1.パンツのラインあたりに、ローラーを当てて腹ばいになります。この時、反対の足は曲げて楽にしておきましょう。

2.両肘をついて身体を上下に動かすようにして太もも前側の筋肉をほぐします。

3.ローラーを膝の上に移動させて、同じように腹這いになります。

4.身体を上下に動かし、次につま先を左右に動かします。膝を曲げ伸ばしするようにして膝上の筋肉をほぐします。

5.膝が90度に曲がった状態で足首を上下に動かすようにするとさらに膝の上をほぐすことが可能です!

【太もも後ろ側】

今度はボールを使って、お尻の筋肉である臀筋(でんきん)と裏ももをほぐします。

1.お尻のすぐ下にある坐骨の下にボールを当てて、膝を伸ばしたまま座ります。反対側の足は膝を曲げて外側に投げ出します。

2.背中を丸めずに、前屈、次につま先を左右に動かすようにして太ももの裏側の筋肉をほぐします。

・寝たままで股関節を効果的にストレッチ!

股関節ストレッチ セッティング

1.仰向けに寝て、右の足首を左膝にかける。

股関節 内転筋ストレッチ

2.息を吸って準備して、吐きながら右に足を倒していく。

◎目安:左右10回ずつ

・立ってできる股関節エクササイズで、股関節を柔らかく!

立ったまま行える股関節のエクササイズですと、料理の間やテレビを見ながらと言った隙間時間にも、行うことができて時間を有効活用できます。ローラーを立てる、もしくは軽く腰をかけられるものをご用意してから行ってください!

1.立てたローラーもしくは椅子などに腰掛けて、大きく足を広げつま先をできるだけ45度の方向に向けましょう。この時膝はつま先の向きと合わせてください。

2.身体を前屈みにしてお尻を少し落としながら太ももが床と平行になるまでしゃがみ込みます。

3.両手をクロスして胸の前で固定し、手で反動をつけないようにスクワットを行いましょう。

4.ゆっくりと背筋を長く伸ばすように息を吐きながら、立ち上がりましょう。

◎目安回数:10回程度

開脚、股関節の屈曲を動きを交えながら、体重を利用して効率的に股関節を柔らかくでき、さらにエクササイズも行うことが可能です。

 

■まとめ

股関節が硬くなると、股関節自体の機能不全だけでなく周囲の背骨や骨盤の機能にも影響を及ぼします。そのため股関節を柔らかくすることで、姿勢不良や腰痛の改善、便秘の解消や痩せやすい身体を作ることができます。

ご自身の股関節の硬さがわからないという方には、セルフチェックの方法と行う際のポイント、注意点を本文に載せていますので、股関節が硬いのでは?と疑問に持っておられる方は是非チェックしてみてください。

今回ご紹介したセルフチェック法で股関節の硬さを実感された方は、股関節のストレッチや股関節周囲の筋肉のほぐし方もご紹介していますので、興味があれば是非試してみてください!

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