股関節のストレッチを一度はやったことあるという方は多いのでは?腰痛や股関節の痛みの改善だけでなく、下半身痩せ、ヒップアップなど様々な効果が期待できる股関節のストレッチを効果からやり方、ポイントまでたっぷりご紹介します。
1.ストレッチの前に股関節の解剖を知ろう
股関節のストレッチをより効果的に行うために、まずは股関節の構造や特徴、周囲にある主な筋肉についてご紹介します。
股関節は様々な運動ができる「球関節(きゅうかんせつ)」
股関節はご存知の通り、両足のつけ根にある関節です。骨盤の骨「腸骨(ちょうこつ)」の外側にある窪み「臼蓋(きゅうがい)」に太ももの骨の上端にある球状の部分「大腿骨頭(だいたいこっとう)」がはまる形で関節をなしています。この構造状の特徴から股関節は「球関節」という種類に分類されます。
球関節は、膝や肘関節のように曲げ伸ばしだけができる構造とは異なり、前後(屈曲/伸展)、左右「内転(ないてん)」/「外転(がいてん)」、捻り「内旋(ないせん)」/「外旋(がいせん)」とたくさんの方向や種類の動きが可能であることが最大の特徴です。それらの動きを組み合わせてぐるぐると回す「分回し(ぶんまわし)運動」をすることもでき、とても大きな運動が可能になります。
一方で、球関節は運動の幅が広いために脱臼(関節がはずれること)のリスクもあります。きちんと関節がはまった状態でないと、十分な可動域が得られず、周りの筋肉も力を十分に発揮することができません。
股関節が全身の健康を担っている!?
股関節は、上半身と下半身をつなぐ関節です。また、大関節(大きく動かせる関節)の中で身体の中心である骨盤に最も近い関節です。前後屈、立ち座り、振りむきなど日常生活における動作は全て股関節が中心になっています。
よって、股関節がしっかり動けば他の関節の負担が減り、股関節の動きが悪いと腰や膝を中心に他の関節の負担が大きくなるということになります。それだけ、股関節の動きは重要であり、他の関節も含めよい動きができるかどうかは股関節にかかっているといっても過言ではありません!
股関節を動かす主な筋肉をご紹介!
股関節を動かしている主な筋肉をご紹介します。
(1)腸腰筋(ちょうようきん)
腸腰筋は股関節の前側にあり、骨盤の前面や腰椎から大腿骨の上部内側まで上下方向に走行しています。ももを上げること(股関節の屈曲)に作用します。この筋肉が硬くなると骨盤の前傾が強くなって反り腰になりやすくなります。
(2)大臀筋(だいでんきん)
大臀筋は名前の通りお尻の膨らみを作る大きな筋肉です。骨盤の後面から大腿骨の「大転子(だいてんし)」(股関節の外側に触れる骨の隆起)に向けて走行しており、ももを後ろに引くこと(股関節の伸展)に作用します。日常生活の動作では、立ち上がり、階段を昇る、踏ん張るといったときに必要不可欠な筋肉です。この筋肉が硬くなると骨盤が後傾して猫背姿勢になりやすくなります。
(3)中臀筋(ちゅうでんきん)
中臀筋はお尻の外側にある筋肉です。骨盤の外側上部から大臀筋と同じ大腿骨の大転子に向けて走行しています。ももを横に開くこと(股関節の外転)に作用し、片足立ちやジャンプ、踏ん張るときに大切です。
(4)大腿二頭筋(ハムストリングス)
大腿二頭筋は太ももの裏にある筋肉で、「坐骨結節(ざこつけっせつ)」(座った時に左右のお尻の下にそれぞれ触れる突起)から膝の裏まで走行しています。大臀筋と同じくももを後ろに引く(股関節の伸展)ときに作用するとともに、膝関節を曲げるときにも作用しています。この筋肉が硬くなると前かがみがしにくくなったり、骨盤が後傾して猫背姿勢になりやすくなります。
(5)大腿四頭筋
大腿四頭筋は太ももの前側にある筋肉で、「下前腸骨棘(かぜんちょうこつきょく)」(骨盤前面にある突起)から下降して「膝蓋骨(しつがいこつ)」(お皿の骨)を経由して「脛骨粗面(けいこつそめん)」(すねの骨の上部前面にある隆起した部位)に付着しています。腸腰筋と同じくももを上げる(股関節の屈曲)ときに作用するとともに膝関節を伸ばすのにも作用します。
歩行はもちろん、立ち上がりや階段昇降にとても重要な筋肉で、この筋肉が硬くなると骨盤が前傾して反り腰になりやすくなるほか、膝が曲がりにくくなるので、正座やしゃがみこみがしにくくなります。
2.股関節ストレッチにはこんな効果とメリットが!
股関節のストレッチによって柔軟性がアップすることで、健康面から姿勢、ダイエットまで様々なメリットがありますのでご説明します。
股関節がはまる!使いやすい股関節に
股関節のストレッチによって骨盤の臼蓋(きゅうがい)に大腿骨頭(だいたいこっとう)がしっかりはまり、股関節の位置が正常化されます。その上、周りの筋肉がきちんと伸縮することで股関節のネジがしっかり締まった状態になり、可動域が拡大、本来の股関節を中心としたしなやかな全身運動が可能になります。日常生活の動作一つひとつが楽に、スマートになったと実感していただけること間違いなしです!
美しいシルエットを実現!姿勢改善効果
股関節の筋肉には骨盤の傾きを調整する働きがあります。股関節前面の腸腰筋や大腿四頭筋、股関節後面の大臀筋や大腿二頭筋の柔軟性のバランスがとれることで骨盤の前後傾の傾きが正しくなり、理想的な姿勢を作ることができます。また、股関節がしっかりはまって股関節がうまく機能することでお尻のインナーマッスルが働きやすくなり、丸く引きあがったお尻のラインが実現します。
骨盤の歪みやご自身の骨盤タイプについて知りたい方は「自宅で簡単にできる!骨盤矯正ストレッチでゆがんだ姿勢を解消しよう!」をチェックしてみてください☆
これでスッキリ!下半身痩せが実現
ストレッチをすると、その筋肉の周りの血流がよくなります。血流とともに代謝もアップするので脂肪燃焼しやすく、下半身痩せが実現します!お尻やももなど気になる部位は特に重点的にストレッチしてみてください。
腰痛・変形性股関節症の予防と改善
股関節周りの筋肉が硬く股関節の動きが小さいと、その分腰椎の動きが過剰になり、腰痛の原因になります。また、股関節の筋肉がうまく使えていないことは変形性股関節症の原因にもなります。今はなんの症状もない方も、腰痛や変形性股関節症の予防のために股関節周囲のストレッチはおすすめです☆
3.自宅で簡単!股関節ストレッチの方法
自宅で簡単にできる簡単な股関節のストレッチ方法をご紹介します。
寝ながらハムストリングスを伸ばす!
1.両膝を伸ばして仰向けに寝ます。
2.ストレッチする方の脚だけを天井に向けて伸ばします。
3.持ち上げた方のふくらはぎにフェイスタオルをかけ、膝が自分の方に近づくように手前に引きます。
4.太もも裏に伸張感を感じながら20秒程度伸ばし続けます(足首を反らすとさらにストレッチ感アップ!)。
座りながら大臀筋をストレッチ!
1.椅子に座り、ストレッチする方の脚だけあぐらをかくように反対の膝の上に引っかけます。
2.背筋を伸ばして骨盤を起こし、胸を脚に近づけるように前に倒れます。
3.お尻に伸張感を感じながら20秒程度伸ばし続けます(肛門を後ろに突き出すようにするとさらにストレッチ感アップ!)。
膝立ちでしっかり!腸腰筋のストレッチ
1.両膝立ちになり、ストレッチする方と反対の脚を股関節、膝関節とも90度になるように一歩前に出します。
2.両手は前に出した膝の上に軽く置いてバランスをとり、上半身は前後左右に傾かず(腰も反らさず)、恥骨(陰部前面の骨)を前に押し出すように重心をゆっくり前に移動させます。
3.後ろになった脚のつけ根に伸張感を感じながら20秒程度伸ばし続けます(下腹に力を入れて骨盤を少し後傾させるとさらにストレッチ感アップ!)。
寝たまま簡単!大腿四頭筋をストレッチ
1.両足を前に伸ばして座ります。
2.ストレッチする方の脚のみ正座をするように膝を曲げます(お尻の下に脚を敷いたら痛い方はお尻のすぐ横でOKです)。
3.両手を身体の後ろにつき、ゆっくりと身体を後ろに倒していきます。
4.太もも前に伸張感を感じながら20秒程度伸ばし続けます(下腹に力を入れて骨盤を少し後傾させるとさらにストレッチ感アップ!)。
股関節をはめるユミコア式ストレッチ!
4つばいになり、脚は肩幅より少し広めに開き、手は肩の真下から掌一枚分前につく。
腰を反らないように背骨を伸ばして前を向き、お尻を真後ろに引く、戻すを繰り返し行う。
◎目安回数
30回
◎ポイント
鼠蹊部に詰まり感、痛みがある場合はお尻を丸めてもok。
4.これって正解?股関節ストレッチのポイント
このストレッチあってる?痛くても我慢してやるのが正解?という皆さんのお悩みを解決するため、股関節ストレッチのポイントをご紹介します。
強い痛みのある姿勢はNG
ストレッチは筋肉をいつも以上に伸ばす行為なので、適度な伸張感は必要です。ストレッチをしているうちに徐々に軽減してくる「いた気持ちいい」痛みであればストレッチを続けましょう。
一方、鋭く顔が歪むような痛みは筋肉を無理に伸ばしすぎて傷めてしまう可能性があります。また、伸ばしているところとは異なる関節の痛みは、関節に負担をかけてしまっている場合がありますので、無理をせず、一旦ストレッチを中止し、伸ばし方を緩めたり、ストレッチの方法を変えたり工夫をするなどしましょう。
ストレッチ中はゆっくり深呼吸
筋肉を伸ばしている痛みでつい息を止めたくなってしまうことがあります。しかし、息を止めてしまうことで身体に余分な力が入り、ストレッチ効果が軽減してしまうことがあります。ストレッチ中は、ゆっくりと深呼吸を続け、呼吸ができないほどの痛みは避けるようにしましょう。bounce house for sale
ストレッチは20秒以上続けるのが必須!
体勢がきついからとストレッチを数秒でやめてしまうと、筋肉が十分に伸長されていないため、ストレッチ効果が軽減してしまいます。深呼吸をしながらストレッチすることで徐々に筋肉の伸びる痛みは落ち着いてきますので、最低でも20秒以上はストレッチ肢位(しい)を続けるようにしましょう。ただし、長ければ長いほどよいというわけではありませんので、1分以上はやめておきましょう。
まとめ
今回は、股関節のストレッチについてご紹介しました。下半身痩せ、腰痛や膝痛の改善など明確な目的を持っている方はもちろん、コロナ自粛でおうち時間が増えた、運動不足だけど家でどんな運動をやったらよいか分からないという方にも、まずとりかかる運動として股関節のストレッチは最適です♪とはいえ、我流でやみくもにストレッチを行ってもなかなか効果は期待しにくいと思いますので、今回ご紹介したストレッチ、ユミコア式の股関節をはめるストレッチを是非試していただきたいと思います!
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投稿者プロフィール
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Yumi Core Body編集部
国立大医学部卒。スポーツ整形クリニックで勤務後、現在は病院勤務で訪問リハビリ業務に従事。二児の母。理学療法士免許。