【柔道整復師解説】呼吸筋・横隔膜を鍛える姿勢改善トレーニングとは?

人間の生命を維持する上で欠かせない呼吸。その原動力となる呼吸筋・横隔膜をトレーニングすることで基礎代謝の向上、さらには姿勢改善も行うことができます。今回は呼吸筋、横隔膜を鍛えるユミコア式呼吸法をご紹介いたします!

■呼吸筋とは?

呼吸筋とは?

呼吸筋とは呼吸動作に参加する筋肉のことを言います。代表的な呼吸動作に関係する筋肉は横隔膜ですが、その他にもいくつかの筋肉が呼吸動作に参加しています。呼吸に関連する筋肉について詳しく見ていきましょう!

・主な呼吸筋は横隔膜と肋間筋(外肋間筋・内肋間筋)

そもそも呼吸とは肋骨内の空間、胸腔(きょうくう)の内圧が変化することによって気管から肺の中に空気が取り込まれ排出されることで起こる動作のことを言います。胸腔は、肋骨の骨組みに筋肉が張られた伸び縮みする提灯のような構造をしており、呼吸筋がその提灯を広げたり縮めたりすることで呼吸という動作が行われています。この呼吸筋が十分に働かないと息苦しさを感じ、運動や日常生活動作などに影響を生じたり、気管や肺内から異物を排出する事ができなくなってしまいます。呼吸筋は私たちの生活にとって大変重要な役割を果たしているのです!

呼吸に関係する主な筋肉は、みなさんがよく耳にする横隔膜だけではなく、各々の肋骨の間を連結している肋間筋(外肋間筋・内肋間筋)と呼ばれる筋肉があります。その他にも首やおなか周囲の筋肉も呼吸運動に関わっており、この呼吸筋が働くことで肺を広げたり縮めたりすることができます。また呼吸筋は自分の意思で動かすことのできる随意筋なので、呼吸を一時的に止めたり大きくしたりすることが可能です。私たちが深呼吸をしたり水の中で息を止めていられるのも、この呼吸筋が働いているからなのです!

・呼気、吸気時の呼吸筋の働き

呼吸の働きは息を吐く呼気、息を吸う吸気に分けられますが、先ほどご紹介した横隔膜や内肋間筋、外肋間筋がどのようにして呼吸運動に関わっているのでしょうか?

【呼気時の呼吸筋の働き】

安静時の呼気時には筋肉はほとんど働かず、外肋間筋と横隔膜が緩むことで自然と肺の空気を外へ押し出します。しかし深呼吸をする際や運動時には内肋間筋を収縮させて空気を排出しています。

【吸気時の呼吸筋の働き】

横隔膜と外肋間筋が収縮することで胸郭が広がり、肺に空気を入れることができます。吸気時の約70%は横隔膜の収縮によって起こり(腹式呼吸)、残りの30%は外肋間筋の収縮によるもの(胸式呼吸)となっています。

また呼吸筋の活動は運動時に最大になります。全速力で走った後には息が上がり、肩で息をしたり、お腹が上下するということがありますが、これは呼吸筋が最大限に動いている証拠です。このように横隔膜、内肋間筋、外肋間筋は、生命を維持する上での呼吸運動に大きく関わっています。

 

■呼吸筋の筋力低下が身体に引き起こす影響

呼吸筋の筋力低下が身体に引き起こす影響

日常生活活動に重要である呼吸筋が筋力低下を起こすと、身体に様々な影響を引き起こします。ここでは呼吸筋の筋力低下により、身体にどのような影響を及ぼす可能性があるのか詳しく見ていきましょう!

・姿勢不良

呼吸筋が弱くなると、様々な体の不調を引き起こします。その一つとしてコアハウスへの影響、つまりインナーマッスルの筋力低下による姿勢不良があります。呼吸を司る主な筋肉の一つ横隔膜は胸とお腹を隔てる筋肉であり、骨盤底筋群、横隔膜、腹横筋、多裂筋からなるコアハウスで屋根の部分にあたる重要な筋肉です。この横隔膜が活動する機会が減ると、コアハウス全体の働きも弱くなり、姿勢保持に重要なインナーマッスルが十分に働かなくなることから姿勢不良にもつながります。つまり、呼吸が浅くなり横隔膜の働きが十分でなくなると姿勢不良や猫背、腰痛の原因の一つになってしまうのです。

また猫背などの姿勢不良が原因で呼吸が浅くなり呼吸筋の筋力が弱くなっている、という場合もあります。パソコンやスマホをよく使用する方は気づかないうちに前かがみになり、しっかりと呼吸することができていないことがあるのため、正しい姿勢で過ごすということも呼吸筋の筋力低下を防ぐことに繋がります!

・内臓下垂

呼吸が浅くなると横隔膜の筋力低下も引き起こし、コアハウスの屋根にあたる横隔膜が低くなり腹部の臓器の収納スペースが狭くなります。横隔膜が低くなることで内臓が下がる傾向にあり、ぽっこりお腹になってしまうのです。また下垂した内臓に押されて腸が圧迫されるため、便秘を引き起こすことがあります。同時にコアハウスの床部分に当たる骨盤底筋にも影響を及ぼすため、お尻のたるみといった体型の崩れ、尿もれなども引き起こしてしまう可能性があるので注意が必要です!

 

■呼吸で鍛える!横隔膜を動かす呼吸法

呼吸で鍛える!横隔膜を動かす呼吸法

呼吸筋である横隔膜は呼吸を意識することで鍛えることができます。ここでは横隔膜を動かす呼吸によりどのようにインナーマッスルを鍛えることができるのか、その呼吸法についてご紹介いたします!

・膣の引き上げを意識した「腹式呼吸」

腹式呼吸は横隔膜を最大限に鍛える最適な方法の一つです。そこにユミコアのメソッドの一つである、膣を引き上げることを意識すると効果的な腹式呼吸を行うことができます。

【横隔膜と骨盤底筋を引き上げる腹式呼吸】

1.お腹に深く息を吸い込む。息を吸う時に、お腹を膨らませ横隔膜を引き下げ、胸郭のスペースを最大限にする。

2.息を吐く時にはお腹を凹ませ、胸郭を最大限に小さくして肺の中の空気を押し出す。その際に横隔膜と骨盤底筋が引き上げられていることを意識して行う。

骨盤底筋を下から持ち上げる様な動きには、膣を締める動きと同じような筋肉の収縮が起こります。つまり、腹式呼吸の際に膣を締めることを意識することで効果的な腹式呼吸を行うことができるのです!

・胸に空気を入れ肋骨を開く「胸式呼吸」

肋骨の柔軟性は呼吸の深さを得るためにも重要です。肋骨を開き胸をうまく膨らますことで横隔膜を使う深い呼吸をすることができます。

【膣の引き上げを意識することで胸の開きも最大限にする胸式呼吸】

1.膣を内側に引き上げ、鼻から大きく息を吸い込む。横隔膜は下がるが、骨盤底筋は引き上がっている状態を作る。肋骨が開いていることを意識して行う。

2.骨盤底筋を引き上げ、息を吐く。膣を締めた状態をキープしたまま、ゆっくり時間をかけて息を口から吐ききる。

胸式呼吸で息を吸う時に膣を締める動作を加えることで腹圧を高め、胸に吸い込んだ空気が横隔膜が押し上がることで肋骨の間を開きます。吐く時には膣の引き上げに加え、横隔膜と肋間筋が肋骨を閉じる様に働くため、コアハウスである腹横筋や多裂筋が収縮し、インナーマッスルを鍛えることができます。

 

■呼吸筋のトレーニング法

呼吸筋のトレーニング法

呼吸に関わる筋肉はいったいどのようにトレーニングすれば鍛えることができるのでしょうか?ここでは呼吸筋を鍛えるユミコア式トレーニング法をご紹介いたします!

・呼吸筋を鍛えるユミコア式トレーニング

呼吸筋を鍛えるユミコア式トレーニング

【肋骨を閉じたまま腹式呼吸】

仰向けになり、膝を立てる。肋骨を閉じた状態を作り、そこから開かないように注意して、少しずつ息を吸って下腹を膨らませる。

少しずつ吐きながら空気を抜いて、お腹が薄くなるまで吐ききる。

◎目安回数
繰り返し10回1〜2セット

 

■まとめ

横隔膜だけではなく膣も鍛えるユミコアのトレーニング法は、ぽっこりお腹を引き締め、便秘も解消、腰痛にも効果的な体型維持に重要なインナーマッスルを鍛える呼吸法です!また横隔膜を使った深い呼吸は、リラックス効果、自律神経のコントロールなどの効果も広く知られています。今日からあなたも呼吸筋を鍛えて姿勢を改善できる上にリラックス効果を兼ね備えた、ユミコア式呼吸法を取り入れてみませんか?

YumiCoreBodyオンラインレッスンでは、呼吸筋を使いながら行うトレーニングや背骨や肋骨、腰周りのストレッチなどレッスンで行なっている内容を自宅で簡単に行うことができます。好きな時に好きなだけ動画を見ることができ、おうちにいながら本格的なレッスンを受けることが可能です。これからトレーニングを始めてみようと思っている方や自分でやっているトレーニング方法に不安のある方も安心して受講していただけます。興味のある方はぜひチェックしてみてください!呼吸筋のトレーニング法についてはオンラインレッスン2021年6月の呼吸で免疫力UP!細胞活性化トレーニング!」で紹介しているので、ぜひご覧ください!
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投稿者プロフィール

村上ちか
Yumi Core Body編集部

大学で柔道整復師・介護を学ぶ。現在は医療介護施設にて機能訓練指導員として日常生活動作訓練、体力の維持向上のためのリハビリ業務に従事。柔道整復師。社会福祉主事任用資格。ホームヘルパー2級。