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ストレスの多い現代社会の中、呼吸が浅くなり息苦しさを感じる方がたくさんいます。睡眠時または起きているときに呼吸が浅いとどうなるのか、その原因や症状、また自宅でもできる改善方法をご紹介します。

■息苦しいのは呼吸が浅いから?自分の呼吸をセルフチェック!

正しい呼吸をチェック正しい呼吸の回数や量、身体の動きについて解説した上で、上手く呼吸ができているのか、セルフチェックする方法について説明します。

正しい呼吸の回数や量はどれくらい?

まずは、正常な呼吸について知っておきましょう。

通常、成人が安静時に無意識にしている呼吸は1分間に12~20回です(乳幼児は回数が増えます)。1回の呼吸では、約500mlの空気を換気しています。

運動中など必要な酸素の量が増えると、呼吸を速くして呼吸回数を増やしたり、努力呼吸(意識的に深く呼吸すること)をすることで換気量を増やします。

また、なんらかの理由で安静時でも呼吸が浅くなっている方は、1回ごとの換気量が少なくなるため、呼吸回数を増やして換気量を補います。

・肺だけじゃない!正しい呼吸には柔軟な胸郭も必要

肺や心臓は生命に直結するとても大切な臓器なので、前側の胸骨(きょうこつ:みぞおちの上にある骨)と背骨を左右につなぐ肋骨に守られており、この骨格を「胸郭(きょうかく)」といいます。息を吸って肺が拡がるときには、肋骨同士の間が開いて胸郭も拡がるのが正常ですが、呼吸がしづらくなっている方の中には胸郭の動きが硬くなり、肺が拡がりたくても拡がりにくい状態になっている方もいます。思い切り空気を吸って肺に酸素を取り込むためには肺の機能だけでなく、胸郭の柔軟性も大切な要素になります。

呼吸に関わる筋肉や構造については、「【柔道整復師解説】呼吸筋・横隔膜を鍛える姿勢改善トレーニングとは?」でも詳しくご説明していますので、是非ご覧ください!

・ちゃんと呼吸できてる?セルフチェック方法をご紹介

きちんと呼吸ができているのかを自分自身で評価するのは難しいので、ご紹介する項目で簡単にチェックしてみましょう!当てはまるチェック項目が多い方は、呼吸が浅くなっている可能性大です!!

✓安静時の無意識呼吸が1分間に20回を超えている。

✓いつも通りの呼吸で息を吐いたあとに呼吸を止め、30秒以上息を止めることが困難である。

✓肋骨の両脇に左右の手を当てて無意識で呼吸をしたときに、肋骨の拡がりや戻る動きをほとんど感じることができない。

✓猫背姿勢になっていることが多い。

✓ストレスや緊張を感じることが多い、イライラしやすい。

✓最近集中力に欠ける気がする。

✓朝起きた時、すっきりしない。寝不足感が続き、日中眠気がある。

✓肩こりや腰痛がひどくなった。

✓大きな声が出にくい。

✓太りやすくなった。

 

■呼吸が浅くなる原因は?

呼吸が浅くなる原因

呼吸が浅くなるのは、姿勢や精神的な要因など、様々なことが考えられます。何らかの病気が潜んでいる可能性も含め、呼吸が浅くなる原因をご紹介します。

・スマホ首が危険!姿勢不良が呼吸を浅くする

スマホやパソコンを操作しているとき、私たちは知らず知らずのうちに猫背になっています。いつも胸郭が下向きになって姿勢不良が続くと胸郭が拡がりにくくなり、その結果肺に空気が入りにくくなってしまいます。

スマホ首については、「自分でできる!ストレートネック(スマホ首)の治し方を理学療法士が徹底解説」でも詳しく取り上げています。是非ご覧ください!

・緊張や過剰なストレス

私たちは、緊張やストレスを感じると自然に身体に力が入ります。呼吸に関与する肩や胸の筋肉が硬くなって動きにくくなること、交感神経が優位になることで呼吸が浅く速くなります。

・もしかしたら病気が原因かも?

姿勢やストレスが原因で呼吸が浅くなっていることもありますが、何か別の病気が原因になっていることもあります。呼吸が浅くなる、息苦しさにつながる代表的な疾患をご紹介しますので、気になることがある方は早めに内科や呼吸器科を受診しましょう。

【気管支喘息】

空気の通り道である気管支に慢性的な炎症があり、寒暖差や空気中のほこりなどちょっとした刺激で発作的に呼吸がしにくくなる疾患です。

【肺炎】

主にウイルス感染により肺に炎症を起こして呼吸がしにくくなる疾患です。コロナウイルスによるものもその一つです。

【慢性閉塞性肺疾患】

肺が炎症を起こしたり、肺の組織が破壊されてうまく息が吐けなくなる疾患で、息苦しさを感じることがあります。原因のほとんどは喫煙で、中高年男性に多い疾患です。

【貧血】

血液中の酸素を運搬するヘモグロビンが減少した状態で、全身に酸素が行き渡りにくくなるので、呼吸のしづらさ、息苦しさを感じることがあります。

【心不全や狭心症などの心疾患】

心臓の機能が低下する疾患で、酸素が全身に行き渡らなくなるので、呼吸のしづらさを感じます。

【肺がん】

肺にできる悪性腫瘍で、咳や血痰などの症状が起こります。進行すると、息苦しさや呼吸困難の症状も生じてきます。

 

■呼吸が浅いとどうなるの?起こりやすい症状は?

呼吸が浅いと起こる症状

呼吸が浅いと、全身の様々な部位に影響を及ぼし、思わぬ健康被害の原因につながりますのでご紹介します。

・血流が悪くなり冷えや疲れやすさの原因に

呼吸が浅いと、全身の細胞に酸素が行き渡りにくくなります。手足の筋肉や内臓が酸欠状態になるため、冷えや疲れやすさを感じるようになります。また、寝ている間の呼吸が浅いことでも睡眠の質が低下して、十分に寝た気がしない、疲れが取れていないといった症状を感じることがあります。

・脳の酸欠で集中力や判断力の低下

呼吸が浅くなると、脳に送られる酸素の量が減少します。脳の働きが低下するため、集中力や記憶力、判断力が低下します。仕事や勉強の効率をアップさせるため、安全な自動車運転をするためにもしっかり呼吸できていることが大切です!

・自律神経が乱れてイライラしがちに

緊張をほぐしたり、落ち着きたいときに自然と深呼吸をするように、深い呼吸をしてしっかりと横隔膜を動かすと、私たちの身体は副交感神経が優位になりリラックスします。反対に、興奮したときには呼吸が速く、浅くなり交感神経が優位になります。そのため無意識に浅い呼吸を続けていると、自律神経のバランスが崩れて常に交感神経優位になってしまうので、イライラしがちになったり、神経が高ぶって寝付きにくくなるなどの症状がでてきます。

自律神経の整え方については、「ストレスやコロナ鬱に負けない!自律神経を整えるおうちで簡単セルフケアのやり方は?」で詳しくご紹介しています。是非参考にしてください!

・代謝が低下し太りやすい体質に!

呼吸が浅くなると、筋肉や脳、内臓など全身が酸素不足になり、活動が滞ってしまいます。結果として、基礎代謝が低下するため、太りやすい体質になってしまいます。ダイエットをしている方は、特に深い呼吸をすることが大切です!

 

■浅い呼吸は改善できる!ユミコア式ストレッチもご紹介

浅い呼吸を改善する方法

浅い呼吸を改善するために自宅で簡単にできること、おすすめのユミコア式胸郭ストレッチもご紹介します。

・猫背はNG!姿勢を直して胸郭を開く

背中がまるまって胸郭が下向きになると肺に空気が入りにくくなります。スマホやパソコンに触れる時間が長い方も、気づいたときには背中を伸ばし、胸郭が上向きになるように意識してみましょう。

・胸式呼吸から腹式呼吸に

呼吸の仕方には、「胸式呼吸」と「腹式呼吸」の二種類あります。胸式呼吸は多くの女性が得意とする呼吸法で、肋骨の間の筋肉である「肋間筋(ろっかんきん)」を主に使うため、呼吸とともに胸が大きく動きます。一方、腹式呼吸は肺の下側にある横隔膜を主に動かす呼吸であり、胸よりもお腹が大きく動きます。横隔膜を動かす腹式呼吸の方が、肺に出入りする空気の量が多くなるため、しっかりと呼吸ができます。ただし、腹式呼吸は横隔膜を動かす練習ができていないとうまく出来ない方がほとんどです。まずは、空気を吸うときにお腹を膨らませ、吐くときにお腹をへこませるという呼吸を練習することから始めてみましょう。

腹式呼吸の正しいやり方や、呼吸筋トレーニングについては「【柔道整復師解説】呼吸筋・横隔膜を鍛える姿勢改善トレーニングとは?」にて詳しくご説明していますので、是非参考にしてください!

・ストレッチで心も身体もリラックス

しっかり呼吸をするためには、胸郭の柔軟性が必要です。ユミコア式の胸郭ストレッチをご紹介します。

胸郭ストレッチ開始肢位

1.ローラーの上に仰向けになり、ローラーを肩甲骨の下角があたるポジションでセットする。

胸郭ストレッチ最終肢位

2.骨盤は丸めて固定しておき、背骨をひっぱりながら反らせる、丸めるを繰り返す。

胸郭ストレッチ捻り

3.次に反らせたまま左右に捻る。

◎目安回数:5から7回

◎ターゲット:胸椎

◎ポイント:腰が反らないように丸めておく。首が動きやすいので首は反らないように気をつける。

・自分なりのストレス解消法で呼吸も変わる!

ストレスが溜まると交感神経が優位になり、呼吸が浅くなりがちなため、ストレスをうまく解消して副交感神経を優位にすることも深く呼吸をする方法の一つです。自分がリラックスできる音楽を聞いたりゆっくり入浴すること、ショッピングやスポーツ、旅行など自分に合ったストレス解消法を持っておくことで自然と呼吸が楽にできるようになるかもしれません。

 

■まとめ

今回は呼吸が浅い、うまく息ができず息苦しいという方のために、呼吸が浅くなる原因や改善方法についてご紹介しました。生まれたときから当たり前に続けている呼吸ですが、日常のストレスや姿勢の影響で知らず知らずのうちに浅くなってしまっているということが多々あります。呼吸を整えるだけで、身体は本来こんなに楽だったのか!と気づくことができるかもしれません!

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