足首やふくらはぎ、足の甲がむくむ、片足だけ腫れる、痛みで歩けないといったむくみの悩みが多く聞かれます。腎臓病や糖尿病などの病気、産後、運動不足などむくみの原因は様々です。今回は、むくみの原因やむくみ取りに効果的な運動を詳しくご紹介します。
■むくみとは?簡単なチェック方法もご紹介
「むくみ」とはどのような状態なのか分かりやすく説明するとともに、むくみやすい体質かどうかやむくみを自分でチェックする方法もご紹介します。
・むくみって何?
「むくみ」とは、全身または身体の一部が腫れぼったくなる状態をいい、専門的な言葉では「浮腫(ふしゅ)」といいます。血液中の水分が血管の外にしみ出して皮膚の下に過剰にたまることで起こります。
間違えやすい言葉や状態として、「腫れ、腫脹(しゅちょう)」があります。こちらは打撲や捻挫、虫刺されなどなんらかの原因で身体の一部が炎症を起こし、局所的に血液量が増加して膨らんだ状態をいいます。
・むくみの起こりやすい部位は?
血管からしみ出た水分は重力に従って降りていくので、脚(特に足の甲やすね)に起こりやすくなります。他には、手の甲や顔などに見られることもあります。
・簡単にできるチェック方法をご紹介
ご自身がむくみやすい体質かどうか、そしてすでにむくみが気になっている方はご自身のむくみの特徴を知るためにチェックしておきたい項目をご紹介します。
【むくみやすい体質度チェック】
これから挙げる項目に当てはまる内容が多い方はむくみやすい体質であると言えます。手足がむくんでいないかときどきチェックしてみましょう!!
✓手足の先が冷えていることが多い。
✓汗をかきにくい。
✓立ちっぱなしや座りっぱなしなど姿勢を変えずに長時間いることが多い。
✓運動量が少ない。
✓濃い味の食べ物が好きである。
✓インスタント食品やファストフードで食事を済ますことが多い。
✓アルコールを飲むことが多い。
✓ストレスが溜まっている。
✓入浴は浴槽に入らず、シャワーだけで済ますことが多い。
✓生活が不規則である。
【自分のむくみをチェック】
むくみを感じたら下記の項目をチェックしてみてください。病院などでむくみの相談をする際に重要な情報になります!
✓両側性のむくみか、片側性(一部のみ)のむくみか。
⇒左右どちらかのみむくみがある場合は下肢静脈瘤やリンパ浮腫、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)が疑われます。
✓むくんでいる部位を指で押してみると、痕が残るかどうか。
⇒運動不足や塩分過多など病気のないむくみ、腎臓、心臓、肝臓の疾患由来のむくみでは痕が残る「圧痕性」の浮腫が起こりますが、リンパ浮腫や甲状腺機能低下症由来のむくみは痕が残らない「非圧痕性」の浮腫であり、原因の判断材料になります。
✓夕方や夜にむくみが増し、朝になると軽減しているか。もしくは、むくみが起こりやすい時間帯やきっかけとなる行動(食べ物や薬など)があるかどうか。
⇒病気のないむくみの場合、むくみが出ても一晩寝れば翌朝にはむくみが落ち着いていることが多いですが、変化がない場合は、疾患を疑う材料になります。
むくみの原因となる疾患については、次の項目で詳しくご紹介します。
■病気の可能性も!?むくみの原因
一般的なむくみは、なにかしらの生活習慣が原因で一時的に起こっているものが多く、原因を改善することでむくみも改善します。むくみの原因となる生活習慣と、むくみに潜む病気についてご紹介します。
・立ちっぱなし&座りっぱなしは要注意
夕方から夜になると手や足がむくむ女性が多く、これは立ちっぱなしや座りっぱなしなど運動不足によるものです。本来、血液は心臓の筋肉が動くことで全身に送り出されて足の先まで運ばれ、反対にふくらはぎを中心とした筋肉によるポンプ作用で心臓に送り返されます。しかし、足の筋肉を動かすことが少ないとそのポンプ作用が十分に機能せず血流が滞り、むくみにつながります。
・濃い味に注意!塩分の摂りすぎがむくみにつながる
外食やカップラーメンなどのファストフードが食生活の中心になっている方、塩や醤油などの調味料を多く使う方は、塩分摂取量が過剰になります。塩分を摂りすぎると体内の塩分濃度を薄めようとして水分の排出を減らし、体内に水分をため込もうとするので、むくみにつながります。
・水分不足でむくむことも!
体内の水分が不足すると、体内の水分を溜め込もうとして水分の排出が抑えられます。結果的に余分な水分が下半身に溜まり、足がむくむことになってしまいます。むくみやすい方は水分摂取を控えてしまいがちですが、適度な水分摂取が必要です。体重50㎏の方で一日に1.5ℓを目安に水分を摂取するようにしましょう。ただし、コーヒーや紅茶、緑茶などの水分は利尿作用があり、飲んだ分だけ尿として排出してしまうので、できるだけ麦茶や水、ノンカフェインの飲み物を摂取するようにしましょう。
・何科を受診すればよいの?むくみには病気が潜んでいる場合も!
多くのむくみは生活習慣による一時的なものですが、中(特に全身性のむくみ)には何らかの病気によってむくんでいる場合がありますので、念のために頭に入れておき、気になる場合は病院を受診しましょう。
【腎不全】
腎臓には、血液をろ過して老廃物を尿として体外に排出する役割がありますが、その機能が低下することで、体内の水分が増え、むくみが生じます。腎不全の場合、他に高血圧、疲労感・倦怠感、吐き気や食欲低下、貧血などの症状が現れます。
【心不全】
心臓の機能が低下し、血流が滞ることでむくみが生じます。むくみ以外の症状としては、動悸や息切れ、倦怠感などがあげられます。
【肝硬変】
肝臓が硬くなり機能が低下します。血液中のたんぱく質を作る働きが低下するため、血液中の成分が変化します。また、肝臓への血流が少なくなり滞るため、むくみが生じます。
【深部静脈血栓症】
一般的な呼び名を「エコノミークラス症候群」といいます。足から心臓へ戻る血管の一部に血栓(血の塊)ができて血管がつまってしまいます。この場合、詰まっている片方の足がむくみますが、血栓が移動し、心臓や肺で詰まらせた場合、命に関わる重篤な状況になることがあります。
ほかにも、高血圧、甲状腺疾患、栄養失調、リンパ浮腫などむくみにつながる疾患があります。
女性の場合、出産前後も多くの方がむくみに悩むようです。出産前後のむくみについては「【理学療法士ママ直伝】ユミコア式出産後のひどいむくみ解消法」にて詳しく説明していますので、気になる方はご覧ください!
■むくみが痛くて歩けない!すぐにできるむくみ解消法をご紹介
むくみに気づいたとき、むくみ予防のために自分で簡単にできる対処法をご紹介します。
・むくむ部位を挙上する
むくみの原因となる水分は、重力に従って身体の下に溜まりがちなので、その部位を上げると改善します。足であれば椅子に座って下に下ろしているよりも横になって少し足を高くすることがベストです。難しい場合は、足元に置いた台の上に足を投げ出すようにするだけでも効果があります。
・こまめな運動を心がける
手足の末梢に溜まった水分は手足の筋肉を動かすことで身体の中心に戻す効果があります。むくみにとって座りっぱなしや立ちっぱなしは避けたいところですが、仕事などでやむを得ない場合は、足の屈伸、肩を回すなどの運動、それも難しい場合は、足首を動かしたり手のグーパーをするだけでもよいのでこまめに身体を動かすことを心がけましょう。
・マッサージで流れを促す
むくみ対策としてマッサージをすることも効果的です。ポイントは手足の先から身体の中心に向かって水分を送り戻すように一方向にゆっくりマッサージすることです。むくみが強い場合はマッサージによる圧が痛みにつながることもありますので、痛みのない範囲でゆっくり行いましょう。
・着圧ソックスを着用する
足のむくみには、履くだけで適度に圧迫してくれる「着圧ソックス」も効果的です。日中の立ちっぱなしの間に着圧ソックスを履いておくことでむくみを予防します。ただし、圧迫し続けるのもよくないので、夜寝るときは着圧ソックスを脱ぎ、足を解放してあげましょう。
■簡単!自宅でできるむくみ取りに効果的な運動
多くの方が悩む足のむくみを解消するために効果的な運動をご紹介します。
・足裏ボールマッサージ
硬くなりやすい足の裏をほぐして血流を促します。
1.足裏の真ん中にボールを入れて、写真のような体勢を作ります。
2.深呼吸して足の力を抜いて、まずは体重を乗せていきます。(無理に強くする必要は無いので、痛すぎない程度でOK)
3.足の力を抜いたら、親指上のチョキ、親指下のチョキをゆっくり交互に20回動かします。
※チョキが難しかったら、グーパーでもOKです!
・ふくらはぎマッサージ&ストレッチ
むくみを中枢に戻すために最も大切な筋肉であるふくらはぎの筋肉をマッサージやストレッチによってほぐします。
【ふくらはぎマッサージ】
1.マッサージする側の膝を軽く立てて座ります。
2.両手の親指と人差し指の間の水かき部分をふくらはぎに当てるようにしながら、ゆっくりと足首から膝に向けて流すように一方向にマッサージを繰り返します。ふくらはぎにかける圧は、気持ちよい程度で行って下さい。
3.「2.」のマッサージに慣れてきたら、両手のひらのつけ根でふくらはぎを左右から挟むようにゆっくりと圧をかけては離し、これも足首から膝に向けてゆっくりと上がっていってください。
【ふくらはぎストレッチ】
1.壁や椅子の背もたれに両手を置き、両足を腰幅に開いて立ちます。
2.両足とも足裏全体が床についたまま右足を一歩後ろに下げ、左膝は曲げ、右膝はしっかり伸ばします。
3.右のふくらはぎに伸張感を感じたらそのまま20秒程度静止します。
4.左右の足を入れ替えて同様に左のふくらはぎもストレッチします。
・踵上げでふくらはぎの筋肉を刺激!
ふくらはぎの筋肉を伸縮させ、ポンプ機能を促します。
1.両脚は腰幅に開き、つま先は進行方向にまっすぐ向けて立ちます。
2.左右の踵をゆっくり上げてつま先立ちになり、ゆっくり踵を下ろします。
回数に決まりはありませんが、一度にたくさん行うよりは、30分~1時間おきに、20~30回くらいできると効果的です。
・脚のつけ根から流れを改善!ユミコア式腸腰筋ストレッチ
腸腰筋は、脚のつけ根前面(鼠径部)にある筋肉です。鼠径部にはリンパ節もあり、ストレッチによって脚全体の循環を促し、むくみの改善につながります。
1.骨盤を立てて、椅子に浅めに座ります。
2.片脚を座面の横に出し、脚のつけ根から後ろに引きます。
3.息を吸って背筋を伸ばし、吐きながら鼠径部が気持ち良く伸びるように骨盤を前に押し出し、20秒程度姿勢をキープします。
4.左右を入れ替えて反対の鼠径部もストレッチします。
腰が反りすぎると、腰に力が入って鼠径部の伸びを感じないので、反らずに頭と坐骨を遠くに伸ばすように意識しましょう。
他にも、3月のユミコアオンラインレッスン「股関節に意識を向けてスイッチON!15分×4」では、むくみ解消に効果的な股関節のストレッチやエクササイズを詳しくご説明しています。気になる方は是非ご覧ください!
■まとめ
今回はむくみの原因と自分でできる改善方法についてご紹介しました。健康な方でも、生活習慣の変化や運動不足などちょっとしたことでむくみやすい体質になってしまうことがあります。反対に、むくみやすい体質の方でも今回ご紹介したようなことに気を付けて生活するだけでむくみにくい体質に変化させられる可能性は十分にあります。ときどきご自身の手足を観察し、最近ちょっとむくんでいるかな?と思ったら早めに対処するようにしましょう。
YumiCoreBodyオンラインレッスンでは、むくみに効果のある循環を促す全身運動のほかにも、姿勢や身体のゆがみを整えて肩こりや腰痛の改善に効果のあるストレッチやトレーニング、筋肉をほぐしたり鍛えたりすることでボディラインを引き締め、女性がより健康的に気持ちよく生活するためのレッスンが充実しています。中でも3月のオンラインレッスン「股関節に意識を向けてスイッチON!15分×4」では、ユミコアの中で常に大切にしている股関節中心の動き、骨盤の引き締めについての内容が盛りだくさんになっています!
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投稿者プロフィール
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Yumi Core Body編集部
国立大医学部卒。スポーツ整形クリニックで勤務後、現在は病院勤務で訪問リハビリ業務に従事。二児の母。理学療法士免許。