股関節を柔らかくすると、姿勢や膝痛、腰痛の改善など様々なメリットがあります。今回は、体が硬い方もなかなかストレッチが続かない方も継続できるよう、寝ながら&立ったままできる簡単な股関節ストレッチをご紹介します。
■なんで股関節が硬くなるの?柔らかくするメリットは?
股関節の構造や特徴についての基礎知識とともに、股関節を柔らかくするメリットについてご説明します。
・股関節とは?
股関節は、左右の脚のつけ根にある関節です。骨盤の骨「腸骨(ちょうこつ)」の外側にある窪み「臼蓋(きゅうがい)」に太ももの骨の上端にある球状の部分「大腿骨頭(だいたいこっとう)」がはまる形で関節をなしています。この構造状の特徴から股関節は「球(きゅう)関節」という種類に分類されます。
球関節は、膝や肘関節のように曲げ伸ばしだけができる構造とは異なり、前後(屈曲/伸展)、左右「内転(ないてん)」/「外転(がいてん)」、捻り「内旋(ないせん)」/「外旋(がいせん)」とたくさんの方向や種類の動きが可能であることが最大の特徴です。それらの動きを組み合わせてぐるぐると回す「分回し(ぶんまわし)運動」というとても大きな運動も可能です。
一方で、球関節は運動の幅が広いために脱臼(関節がはずれること)のリスクもあります。きちんと関節がはまった状態でないと、十分な可動域が得られず、周りの筋肉も力を十分に発揮することができません。
・股関節が硬くなる原因
股関節が硬くなる=股関節の可動域が狭くなるということです。立ち座りや歩行など一般的な日常生活動作では関節の可動範囲の極一部しか使わないため、ストレッチなど意識して大きく動かす運動をしなければどうしても関節やその周りの筋肉は硬くなってしまいます。
ただし、生まれつき股関節が硬いという方もいます。子供の頃、「先天性股関節脱臼」と診断を受けたことがある方は、股関節が構造的に浅く、股関節の動きが制限されます。この先天性股関節脱臼は、女児に起こりやすく家族や親戚に同じような症状を持つ人に起こりやすくなります。先天性股関節脱臼の場合は股関節が硬いからといって、過度のストレッチを行うと痛みが生じたり、最悪の場合には脱臼してしまうということもあるので、診断を受けたことがある方は無理はしないようにしましょう!
・股関節を柔らかくするメリットは?
【女性らしいしなやかな動きに&ケガの予防】
股関節が大きく動かせると跨いだり、しゃがんだりと日常生活の様々な動きも無理なくスマートにこなせるようになります。動きに無理がないので膝や腰などのケガもしにくく、女性らしいしなやかな動きになります。
【腰や膝に優しい身体に】
股関節の動きがしっかりしていると、その分腰や膝といった周りの関節への負担が軽減します。ぎっくり腰や一時的な膝痛はもちろん、長期的には変形性膝関節症、変形性腰椎症、変形性股関節症の予防にもなります。
【姿勢改善】
股関節の筋肉には骨盤の傾きを調整する働きがあります。股関節前面の腸腰筋(ちょうようきん)や大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、股関節後面の大臀筋(だいでんきん)や大腿二頭筋(だいたいにとうきん)の柔軟性のバランスがとれることで骨盤の前後傾の傾きが正しくなり、理想的な姿勢を作ることができます。また、股関節がしっかりはまって股関節がうまく機能することでお尻のインナーマッスルが働きやすくなり、丸く引きあがったお尻のラインが実現します。
骨盤の歪みやご自身の骨盤タイプについて知りたい方は「自宅で簡単にできる!骨盤矯正ストレッチでゆがんだ姿勢を解消しよう!」をチェックしてみてください☆
【代謝アップで冷え性改善&下半身ダイエットに!】
股関節を柔らかくすると、股関節周りはもちろん、下半身を中心に血流が改善し、冷えの改善につながります。また、代謝もアップするので脂肪が燃焼しやすく、下半身痩せにつながります。お尻やももなど気になる部位は特に重点的にストレッチしてみてください。
■股関節を柔らかくする方法は?
股関節を柔らかくする方法は色々あります。自分に合った方法や組み合わせを選んで股関節をしっかり柔軟にしてください。
・ストレッチ
ストレッチは、筋肉が伸びる姿勢をとって一定時間伸ばし続けることで、筋肉を柔らかく伸び縮みしやすい状態にすることです。股関節周りの筋肉をストレッチすることで、股関節の動きを大きくすることができます。
ストレッチの種類や効果については、「理学療法士がストレッチの効果と腰痛&肩こり&股関節に効くおすすめストレッチを動画でご紹介!」にて詳しく説明していますので、是非ご覧ください!
・マッサージ
股関節を柔らかくする方法として、ストレッチと同様に股関節周りの筋肉をほぐすマッサージがあります。マッサージの方法には、揉む、指圧、軽く叩くなど色々あります。ストレッチは筋肉を直接伸ばすので硬い方は痛みを伴うことがありますが、マッサージは力加減も調節しやすいため、ストレッチが苦手な方も取り組みやすい方法です。マッサージを行ってある程度筋肉をほぐしてから、ストレッチをするという方法もあります。
股関節を柔らかくするマッサージについて、「【理学療法士おすすめ】股関節を柔らかくする「痛くない」ストレッチを動画でご紹介」でご紹介していますので、ご覧ください!
・有酸素運動
股関節自体を動かしたり直接ほぐすストレッチやマッサージを行わなくても、ウォーキングやエアロバイク、ヨガのような全身的な有酸素運動でも股関節を柔らかくすることができます。全身の有酸素運動を行うことで血流がよくなり筋肉や関節が温まるので、自然と動きが滑らかに大きくなります。
有酸素運動については、「【理学療法士絶賛!】室内でできるおすすめ有酸素運動でダイエット成功!」で詳しくご紹介していますので、是非ご覧ください!
■安眠効果もあり!【寝ながら】股関節を柔らかくするストレッチをご紹介!
就寝前や朝起きたとき、寝たままできる股関節のストレッチ方法をご紹介します。
・座りっぱなしの方に!お尻ストレッチ
座りっぱなしの時間が長い方は、お尻が圧迫されて硬くなってしまいますので、お尻のストレッチをしっかり行いましょう。腰痛予防にもおすすめです。
1.仰向けに寝て両膝を立て、右脚を軽く左足に引っかけて「4の字」になるようにします。
2.右脚を引っかけたまま左太ももを両手で持ち胸に近づけるように引き付けます。
3.右のお尻に伸張感を感じたら呼吸を続けながらそのまま20秒程度静止します。
4.ゆっくり脚を下ろし、左右を入れ替えて同様に左のお尻もストレッチします。
・姿勢も改善!太もも裏ストレッチ
太もも裏のハムストリングスという筋肉は、お尻の筋肉同様に座り時間が長いと圧迫されて硬くなってしまう筋肉です。姿勢や腰痛にも大きく影響する筋肉なので、是非柔らかくしておきましょう。
1.仰向けになり片足は伸ばし、もう一方の足を天井に上げ、両手で膝の後ろ側を持ちます。
2.お尻の穴は床の方に向けた状態をキープして足を自分の方にゆっくり5回引き寄せます。
3.反対も同様に行います。
・リンパの流れも促す!開排ストレッチ
鼠径部や内ももをストレッチで柔らかくすることで、リンパの流れを促し、浮腫みや冷えの改善にもつながります。
1.仰向けになり、両膝を立てます。
2.左右の足裏をくっつけ、両膝を開くようにゆっくり開排し、内ももに伸張感を感じたところでストップし、そのまま20秒程度静止します。
※股関節の前側など内もも以外に不快な痛みを感じる際は無理をせず中止、もしくは開排の程度を緩めて様子をみながら進めてください。
内もものストレッチや内転筋(内転筋)については、「脚痩せ&腰痛にはこれ!理学療法士がおすすめする内転筋ストレッチ」にて詳しくご説明しておりますので、是非ご覧ください!
・腰痛にも効果あり!腰捻りストレッチ
お尻両側面にある中臀筋(ちゅうでんきん)をのばしながら、腰が捻られることで腰痛の予防や改善にも効果的なストレッチです。
1.仰向けになり、手を肩の横に開いて手のひらを天井に向けます。
2.膝を90度に曲げて立て、左右の足をつけておきます。
3.鼻から息を吸って吐きながら膝を右側に倒していきます(足の裏はマットから離れてOK)。
4.息を吸って膝を中央に戻し、吐きながら膝を左側に倒していきます。
5.膝を左右に倒した時に背中が浮かないように腰から捻ります。
6.左右10回ずつ行います。
■いつでも簡単!【立ったまま】股関節を柔らかくするストレッチをご紹介!
すき間時間で立ったまま簡単にできる股関節のストレッチ方法をご紹介します。
・すき間時間で簡単!膝抱えストレッチ
1.立ったまま片足を持ち上げ、上げた足の膝を両手で抱えて胸に引き付けるようにします。
2.上げた側のお尻に伸張感を感じたら、呼吸をしながらそのまま20秒程度静止し、ゆっくり足を下ろします。
3.左右の足を入れ替えて反対も同様にストレッチします。
・反り腰改善!鼠径部ストレッチ
脚の付け根前面にある「腸腰筋」のストレッチです。反り腰の方、仰向けに寝ると腰が痛い方におすすめです!
1.直立の姿勢からストレッチする側の反対の脚を大きく前に一歩出します。
2.前に出した方の膝を曲げながらゆっくり腰を落としていきます。このとき、上半身は前に倒れないように床に垂直をキープします。
3.後ろに引いた足のつけ根に伸張感を感じたらそのまま20秒程度静止し、ゆっくり楽な体勢に戻ります。
4.左右の脚を入れ替えて、反対の脚も伸ばしましょう。
・疲労回復!太もも裏ストレッチ
1.しゃがんで両手で左右の足首を持ちます。
2.足首を持ち、太ももに胸をつけたままゆっくりと立ち上がり、膝を伸ばしていきます。
3.これ以上膝が伸ばせないと感じるところまできたら5秒キープし、またしゃがみます。
4.「2.」、「3.」の動きを5回繰り返します。
太もも裏のストレッチについては、「ハムストリングスが硬い人必見!効果絶大簡単おすすめストレッチを理学療法士が動画で解説」で他のやり方もたくさんご紹介していますので、是非ご覧ください!
・内ももストレッチ
1.四股踏みのように膝やつま先を外向きにして足を左右に開き、両手を膝について股関節と膝関節がそれぞれ90度になるくらいまで腰を落とします。
2.右肩を中に入れ込むように左を向き、股関節と膝を更に外側に開くようにして内ももを伸ばします。その姿勢を20程度維持します。
3.正面に戻したら、反対も同様に行います。
ストレッチを正しく効果的に行うためのポイントは、「理学療法士がストレッチの効果と腰痛&肩こり&股関節に効くおすすめストレッチを動画でご紹介!」にてご紹介しておりますので、ご覧ください。
■まとめ
今回は、股関節を柔らかくするメリットや、ストレッチ方法をご紹介しました。股関節は上半身と下半身を繋ぐ関節であり、動きの中心となる関節です。柔軟性を保つことで、全身の健康に繋がりますので、股関節が硬くなってきたなと感じる方もまだ感じていない方も、是非この機会に股関節のストレッチを簡単にできるものから始めてみてください!
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投稿者プロフィール
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Yumi Core Body編集部
国立大医学部卒。スポーツ整形クリニックで勤務後、現在は病院勤務で訪問リハビリ業務に従事。二児の母。理学療法士免許。