腰痛の種類やそれぞれの症状に対する正しい対処法をご説明します。また、仰向けで寝ると腰が痛い方、腰痛でなかなかストレッチが出来ていない方も寝ながら簡単にでき、腰痛改善に効果抜群のストレッチ方法をご紹介します。
■腰痛の種類と症状
腰痛の症状は人によって様々で、状態によって必要な対応が異なります。ここでは腰痛の種類と正しい対処をするための見分け方をご紹介します。
・腰痛の種類と見分け方
腰の主な構造は、骨盤の上に積み木状に「腰椎(ようつい)」という小さな骨が積み重なり、腰椎の間にそれぞれ「椎間板(ついかんばん)」というクッションの役割をする組織があります。また、その周りに筋肉や靭帯がたくさんあり、背骨を支えています。腰痛の代表的なものとして、
・圧迫骨折(あっぱくこっせつ):尻もちをついたときなどに起こり、脊椎がつぶれる骨折
・椎間板ヘルニア:座りすぎや重たい物を持つ作業の繰り返しなどで椎間板がつぶれて神経を圧迫し、腰痛や脚の痺れや痛みを伴うもの
・筋損傷(きんそんしょう):肉離れ
・筋筋膜性腰痛症(きんきんまくせいようつうしょう):筋肉由来の痛みを全て含めるもの
があります。これらを見分けるためには専門家の診断が必要になりますが、症状によって自分でもある程度対処の仕方を判断することができますので、この後紹介します。
・動作時の鋭い痛み・動いたあとの痛みは炎症が原因
立ち上がりや前かがみなど腰に負担がかかる動作をしたときに鋭い痛みがある、動いたあとに痛みが悪化するときは炎症による痛みであることが考えられます。炎症を悪化させると痛みが改善しないので、痛みの出る動作は極力控えるとともに、この後ご紹介する「RICE処置」を行うようにしてください。
・常にある鈍痛・朝一番の痛みはコリが原因
朝一番や動き始めに痛みが強く、身体がほぐれてくると徐々に痛みが緩和してくる場合や、常に鈍痛を感じる場合は、血流が悪くなっていることや筋肉が硬くなっていることが痛みの原因であると考えられます。無理は禁物ですが、痛みと相談しながら少しずつストレッチやウォーキングなどの有酸素運動をして血流促進、筋肉のコリを解消していきましょう。
・急性期はストレッチよりもRICE処置が優先!
ぎっくり腰など痛みが急激に上昇した急性腰痛、また普段から腰痛がある方も明らかな症状の悪化がみられる場合は炎症を起こしている可能性が高いので、炎症を抑える「RICE処置」が大切になります。「RICE処置」とは、
R(Rest):安静
I(Icing):冷却
C(Compression):圧迫
E(Elevation):挙上
の4原則で、身体のどの部位でも炎症抑制に効果的ですが、腰痛の場合は特に安静と冷却が効果的です。症状悪化からの2~3日は、積極的なストレッチや運動は避け、痛みが出にくい楽な体勢でできるだけ安静にし、氷嚢を患部にあてて15~20分間しっかり冷やすアイシングを日に数回行うようにしてください。
みなさんもよく耳にする「ぎっくり腰」について「【理学療法士解説】ぎっくり腰にはこれ!正しい治し方とストレッチ方法を徹底解説」で詳しく説明していますので、是非ご覧ください!
■寝る前簡単!腰痛改善におすすめのストレッチ方法
腰痛に効果的なストレッチの中で、寝る前に横になったままできる簡単なストレッチをご紹介します。
・寝ながら「膝抱えストレッチ」
腰の筋肉を伸ばす簡単なストレッチです。
1.仰向けに寝ます。
2.片方の膝を自分の胸に近づけるように曲げ、両手で抱きかかえるようにゆっくり引き寄せます。
3.腰の筋肉に伸張感を感じたら20秒程度そのまま静止し、しっかり伸びたらゆっくり戻します。
4.反対の脚も同じように抱えて伸ばします。
5.姿勢に無理のない方は、両脚同時に抱えて同じように伸ばすと、よりしっかりストレッチされます(ヘルニアの診断を受けている方で、両足同時に抱えると腰に嫌な痛みを感じる場合は中止してください)。
・寝たまま「腰捻りストレッチ」
腰痛改善には寝たまま行う腰捻りストレッチが有効です。今回は腰痛対策やくびれ作りにも効果的なユミコア式トレーニング法をご紹介します!
1.仰向けになり、手を肩の横に開いて手のひらを天井に向けます。
2.膝を90度に曲げて立て、左右の足をつけておきます。
3.鼻から息を吸って吐きながら膝を右側に倒していきます(足の裏はマットから離れてOK)。
4.息を吸って膝を中央に戻し、吐きながら膝を左側に倒していきます。
5.膝を左右に倒した時に背中が浮かないように腰から捻ります。
6.左右10回ずつ行います。
・タオルを使って「もも裏ストレッチ」
腰痛と関係の深い太もも裏を伸ばすストレッチです。
1.フェイスタオルの端を両手に持ち、仰向けに寝ます。
2.片方の足首にフェイスタオルを引っかけ、脚を挙げて自分の方に引き寄せます。このとき、できるだけ挙げた方の膝は伸ばすようにしてください。
3.挙げた脚の太もも裏に伸張感を感じたらそのまま20秒程度静止し、ゆっくり下ろしてください。
4.反対の脚も同じように伸ばしましょう。
※下ろしている方の膝は伸ばしておくのが基本ですが、体勢によって腰が痛い方は軽く曲げてもOKです。
・反り腰さんにおすすめ「太もも前ストレッチ」
仰向けで寝ると腰が痛い方、反り腰の方は、脚のつけ根の筋肉が短縮している可能性があるので、太もも前の筋肉をしっかりストレッチしましょう。
1.仰向けに寝ます。
2.片方の膝を折りたたむように曲げて、身体の横につけます。
3.曲げた方の太もも前の筋肉に伸張感を感じたらそのまま20秒程度静止し、ゆっくり元に戻します。
4.反対の足も同じように伸ばしましょう。
※筋肉が硬くて膝を折りたたんで横になるのが難しい方や、この体勢で腰に痛みを感じる方は、横向きになって手で足の先を持ちながら膝を曲げるか、軽く上半身を起こした体勢でストレッチを行うようにしてみてください。
他にも、寝る前に全身をほぐすおすすめのストレッチを「痩せる上に腰痛も改善!?理学療法士がおすすめする寝る前の快眠ストレッチ」でご紹介していますので、是非ご覧下さい!
■腰痛改善ストレッチを行うポイントと注意点
腰痛のための寝る前ストレッチをより効果的に行うためのポイントについて解説します。
・ストレッチ中はゆっくり深呼吸を
筋肉を伸ばすのが辛いと、どうしても息を止めたくなってしまいます。しかし、息を止めると身体に余計な力が入って筋肉をしっかり伸ばすことができなくなってしまいます。ストレッチ中はゆっくりと深い呼吸を意識して続けるようにしてください。
・反動はつけず、最低でも20秒は伸ばす
ストレッチ中はもっと伸ばしたいという思いから反動をつけて何度も動かしてしまいがちです。しかし、筋肉をしっかり伸ばすためには、ストレッチの姿勢で止めたまま伸ばし続けることが大切です。ストレッチ中は反動をつけず、最低でも20秒はストレッチの姿勢を保つようにしてください。
・強度は「いた気持ちいい」がベスト!
少しでもストレッチの効果をあげようと思って、痛くても我慢して伸ばすのは逆効果です。痛みが強いと身体に余計な力が入って筋肉がうまく伸びなくなってしまいますので、「いた気持ちいい」程度までのストレッチがより効果的です!
・鋭い腰痛を感じたら即中止!
ストレッチをしている最中に、腰痛を感じてこのままストレッチを続けていいのか迷うことがあると思います。腰の筋肉が伸びているような軽い痛みであればそのまま続けて大丈夫ですが、ストレッチの体勢をとることでずきんと鋭い痛みや嫌な鈍痛が続くようなときや、ストレッチ後に痛みが悪化する場合は、中止してください。
■腰痛改善・予防のための日常生活の注意点
腰痛を改善、予防するために日常生活内から注意しておきたい点をご紹介します。
・長時間同じ姿勢はNG
立ちっぱなしや座りっぱなしなど長時間同じ姿勢でいると、筋肉や関節が固まってしまって、いざ動こうとしたときにうまく動けず痛みを感じてしまいます。目安として1時間以上同じ姿勢を続けるときは途中で体勢を変えたり、間で簡単なストレッチをするなど、筋肉や関節をほぐすようにしましょう。
・正しい姿勢を意識する
座り姿勢や立ち姿勢など、だらんと力を抜いた姿勢は楽かもしれませんが、その姿勢が続くと腰痛につながってしまいます。どんなに正しい姿勢でも長時間ずっとその姿勢でいると固まって痛みを生じてしまうので、こまめに体勢を変える工夫は必要ですが、基本は骨盤を起こし、背筋を伸ばしたまっすぐな姿勢でいることを心がけましょう。
・お風呂に浸かって温まる
お風呂に浸かって温まると、全身の血流がよくなり、筋肉や関節にたまった疲労が解消されます。ぎっくり腰など炎症の強い急性期の場合を除き、できるだけ湯船に使って温まるようにしましょう。
・日頃から適度な有酸素運動を
ウォーキングやジョギング、水泳、ストレッチなど比較的長い時間継続できる有酸素運動は、入浴と同じように全身の血流を促し、筋肉や関節をほぐす効果があります。また、多くの有酸素運動は腰痛改善や腰痛予防に必要な腹筋や背筋も適度に刺激してくれます。ダイエットにも効果的ですが、腰痛のためにも日頃から適度な有酸素運動をするよう心がけましょう。
腰痛改善&予防だけでなく、ダイエットにも効果的な有酸素運動については、「【理学療法士絶賛!】室内でできるおすすめ有酸素運動でダイエット成功!」でも詳しく取り上げていますので、是非ご覧ください!
■まとめ
今回は、腰痛の種類や正しい対処法と、腰痛改善に効果的な寝る前ストレッチのやり方についてご紹介しました。仕事や家事、育児が忙しく慢性的な腰痛をお持ちの方も多いと思いますが、ケアすることなく過ごしていると、年齢とともに筋肉が硬くなり、筋力が低下し、腰痛が悪化してしまうことが大いに考えられます。今回ご紹介したストレッチは寝たままできる簡単なものが多くなっていますので、寝る前に1分でも一つでもストレッチをして、疲れて硬くなった筋肉を伸ばし、質の良い睡眠となるように是非取り入れてみてください。
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投稿者プロフィール
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Yumi Core Body編集部
国立大医学部卒。スポーツ整形クリニックで勤務後、現在は病院勤務で訪問リハビリ業務に従事。二児の母。理学療法士免許。