左右の肩が内巻きになっている「巻き肩」。スマホやパソコンが原因の一つと考えられますが、ひどい場合、肩こりや首の痛みなどの症状を悪化させることも。ここでは、巻き肩を自分で治す方法をご紹介します。
■巻き肩の原因は?巻き肩のせいで全身にこんな症状まで!?
「巻き肩」とはどんな姿勢なのか、解剖学とともに分かりやすく説明し、巻き肩の主な原因やそれによってもたらす症状を解説します。
・巻き肩とは肩甲骨と上腕骨(じょうわんこつ)でつくられる不良姿勢
「巻き肩」とは、左右の肩が前方に出て、身体が内巻きになっている状態をいいます。もう少し具体的に説明すると、身体を横から見た時に、背中が丸まって(猫背であり)耳よりも肩が前に出ている状態をいいます。
このとき、背中の両側にある肩甲骨は、本来の位置よりも左右に離れて外に流れた状態になります。それに伴い、肩甲骨の外縁にある関節窩(かんせつか:上腕骨(腕の骨)がはまる窪み)と上腕骨で構成される肩関節は前方に偏移します。
まとめると、巻き肩は猫背姿勢により肩甲骨の位置が悪くなり、肩関節が前に出ることで作られる不良姿勢なのです!
・【原因】スマホは巻き肩の最大の敵!?寝方が原因になることも!?
巻き肩の主な原因は、やはり生活習慣にあります。スマホやパソコンなどの画面を見ているとき、無意識のうちに背中が丸くなり、巻き肩姿勢になってしまいます。また、座っているとき、立っているときも意識して背筋を伸ばしたり胸を張らない限り、ついつい巻き肩になってしまいます。このように巻き肩の姿勢でいる時間が長ければ長いほど、私たちの骨格はその姿勢で定着してしまいます。
また、巻き肩の原因は起きているときだけでなく、寝ている姿勢が原因になることもあります。普段使う枕は、特にこだわりなく選んでいる方が多いと思います。しかし、高すぎる枕は寝ているだけで首を前屈し(前に出し)、それに伴って背中も丸まり、巻き肩に近い姿勢を作り出してしまいます。枕の高さや硬さによって不良姿勢を作り出していないかも要注意です!
ここまで、巻き肩の原因として生活習慣をあげましたが、先天的な(生まれつきの)原因もあります。「先天性後弯症(せんてんせいこうわんしょう)」のように、遺伝上の間違いによって背骨の前方部分が形成不全を起こし、背骨が丸まった状態(後弯)になることもあります。
・【症状】巻き肩さんは首も痛い!肩こりも悪化!
巻き肩になると、自然に頭が肩よりも前方に突出します。頭は身体の中でもとても重たい部位で、頭が身体よりも前方に出るとそれを支えるために、首から肩にかけての筋肉が必要以上に頑張らなくてはならなくなります。結果として、肩こりの悪化や首の痛みにつながります。
・【症状】巻き肩が自律神経の不調をきたす!?
「自律神経」とは、全身に張り巡らされている神経で、私たちの意思とは関係なく、身体を調節するために働く神経です。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、交感神経は興奮したり活動的なときに、副交感神経はリラックスするときに優位になります。巻き肩になることで、首や肩の筋肉が緊張し、周りの自律神経を圧迫してしまうと、自律神経の働きが乱れ、体温調節やホルモンバランス、食べ物の消化や吸収などいたるところに不調を生じます。ちょっとした姿勢の不良が、全身の不調につながってしまうことがあります。
自律神経の詳しい説明や不調症状改善のための方法は、「ストレスやコロナ鬱に負けない!自律神経を整えるおうちで簡単セルフケアのやり方は?」でご覧いただけます。興味のある方は是非!
■まだ間に合う!巻き肩を治す方法は?
日々の積み重ねによってできた巻き肩は日々の正しいケアで治すことができます。ここでは、巻き肩を治す方法として具体的にどのようなものがあるのかご紹介します。
・一日の緊張を解放!マッサージやストレッチで胸を開く
巻き肩の方は、大胸筋(だいきょうきん)をはじめ、胸周りの筋肉や皮膚までもが凝り固まっています。その状態のまま、肩を後ろに引き、胸を張って巻き肩を治そうと意識しても、胸が開きにくくなかなかよい姿勢が作れません。まずは、胸周りの硬くなった筋肉をマッサージやストレッチによってほぐし、胸を開きやすくすることで巻き肩改善の第一歩になります。
・背中の筋トレで肩甲骨の位置を正す!
マッサージやストレッチで胸周りをほぐしたら、次は巻き肩改善のキーマンである肩甲骨を正しい位置に引き寄せる筋肉の筋トレです。外側に流れてしまった左右の肩甲骨を背骨側に寄せ、正しい位置に修正するためには肩甲骨の内側にある菱形筋(りょうけいきん)の力が必要です。また、肩甲骨に対して上腕骨をしっかり引き付けておくための回旋筋腱板(かいせんきんけんばん)(※1)や背骨をまっすぐに支えるための脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)や広背筋(こうはいきん)、背骨を安定させる多裂筋(たれつきん)の力も重要です。今まで機能していなかったこれらの筋肉を鍛えることで、正しい姿勢を楽に維持できるようになります。
(※1)回旋筋腱板:肩甲骨と上腕骨をつなぐための小さな筋肉の総称。棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょっかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)が含まれる。別名ローテーターカフとも呼ばれる。
背中の筋肉についてもっと詳しく知りたい方は、「理学療法士ママ解説!ガチガチ背中を柔らかくするストレッチ方法とは?」をご覧ください!
・結局はよい姿勢の意識が一番!
胸を開きやすくするためにマッサージやストレッチ、よい姿勢を維持するために必要な背中の筋肉を鍛えても、よい姿勢を保とうとする意識がなければ何も改善しません。骨盤が後傾して腰や背中が丸まった姿勢ではなく、骨盤を立てて背筋を伸ばすこと、胸を張り、左右の肩甲骨を軽く内側に寄せる意識を持つこと、この2点から意識してみましょう!
24時間正しい姿勢を維持することは難しいですが、日頃から姿勢に対する意識を高め、気づいたときにすぐ姿勢を正すようにすることで自然と正しい姿勢が身につくようになっていきます。
・なかなか治らない巻き肩は整体でプロ頼み!
ここまでご紹介した自分でできる巻き肩の修正方法を続けてみても、頑固な巻き肩がなかなか治らないということもあるかもしれません。特に猫背が強くなり、背中の丸まりがなかなか治らないという方は無理に背中を伸ばそうとして背骨を傷めてしまうおそれもあります。そんなときは、整体や整骨院などで一度みてもらうのも一つの方法です!プロに骨格を整えてもらった上で筋トレをしたり、姿勢の意識をした方が効率よく巻き肩を治せることもあります。
■巻き肩を自分で治す!正しいストレッチや筋トレのやり方
巻き肩を自分で治したいという方必見!巻き肩を治すためのストレッチやマッサージ、筋トレの自宅でできる簡単なやり方を詳しくご紹介します。
・寝る前の1分間!胸のストレッチでリラックス
まずは、大胸筋のストレッチで胸を開きやすい状態を作ります。
1.両腕を真横に開いて、仰向けに寝ます。
2.右脚を股関節、膝関節ともに約90度になるように曲げ、右脚が左脚の向こう側に乗り越えるように腰から下を捻ります。
3.右の胸に伸張感を感じたらそのままの姿勢で静止します。このとき、上半身や顔の向きは仰向けのままがポイントです。
4.左右を入れ替えて、左側の胸も同じようにストレッチします。
ストレッチ中はリラックスして呼吸を続け、20秒程度同じ姿勢を保ちましょう。
・どこでもできる!ユミコア式巻き肩改善ストレッチ
あぐらで座り背骨を伸ばす。片側の腕を横に伸ばし親指を立てグーに握る。反対側の手で腕を伸ばしている側の肩から内側に向かって斜め下に下ろした凹みの辺りを押し、肩を外側に開き肩甲骨を寄せるように腕を後ろに引く。首は腕とは対方向に向き腕と離すようなイメージで胸の前と首を伸ばす。同様に反対側も行う。
◎目安時間
30〜90秒
◎ポイント
体で捻らず肩甲骨を寄せるイメージで行う
◎ターゲットマッスル
小胸筋
・タオルやチューブでラットプルダウン
猫背を治して背筋を伸ばし、肩甲骨を内側に寄せる筋トレです。
1.フェイスタオルの両端をそれぞれの手で持ちます。
2.背筋を伸ばしながらバンザイをします。
3.バンザイからタオルを頭の後ろに下ろし、胸を張ります。
4.「2.」と「3.」を繰り返し行います。
このトレーニングでは、腕や肩よりも肩甲骨を動かす意識を持つことがポイントです。
■巻き肩矯正に使えるおすすめのグッズツールのご紹介 !
自分で巻き肩を矯正するために色々なストレッチやトレーニング方法がありますが、より効果的に行うためにおすすめのツールと簡単な使い方を紹介します。
・ストレッチポールは簡単かつ効果大で大人気!
背骨を整えるためのツールとして広く使用されているものに「ストレッチポール」があります。ストレッチポールは長さ約1ⅿ、直径約15㎝のポールです。このポールの上に頭からお尻までを乗せて横になり、軽く揺れたり背骨の周りをごろごろとほぐすことで、筋肉が緩み、背骨を整え、リラックス効果があります。ただ乗っているだけなので、背骨に過度の負担や痛みを伴うことなく自然に姿勢を修正することができます。身体のケアがなかなか続かない、という方でも毎日数分間この上に乗るだけなので続きやすいこともストレッチポールのメリットです。
ストレッチポールについてさらに詳しく知りたい方は、ストレッチポール公式HPまで。
・自分の骨格に合った枕を選ぼう!
赤ちゃんや子どもは、枕なんてなくても、硬い床の上でもどこでも眠れてしまいますよね!それは背骨も筋肉もまだ柔らかく、どんな面にも順応できてしまうから。一方、多くの大人は枕なしで眠ることにはやはり抵抗があります。それは、ほとんどの方が少なからず巻き肩で頭が前方に出たままになってしまっているからといえます。高い枕は眠りにつきやすく、楽に感じるかもしれませんが、あまりに高い枕ばかり使っていると、それ自体が猫背や巻き肩を助長してしまう恐れもあります。自分の骨格に合った適度な高さ、硬さ、形状の枕を選び、首が前屈したまま眠っているということのないように注意しましょう!
・ユミコアのほぐしアイテム「Hoggsy」 structure gonflable
YumiCoreBodyが筋膜リリース(はがし)のツールとして作ったオリジナル商品が「Hoggsy」です。直径7㎝のボールで、青い部分は少し硬めに、白い部分は少し柔らかめに作ってあるので、ボールが変形して身体の深部まで入り込み、より高い筋膜リリースの効果が期待できます。自分の手でマッサージしようとするとどうしても力が入ってしまい、medical pharmaceutical industry うまくほぐせない胸周りの筋肉にHoggsyをあててうつ伏せになって体重をかけたり、自分では手の届かない背骨周りを丁寧にほぐすことができますので是非お試しください☆
また「Hoggsy」に続き、大きな筋肉やより強い刺激を入れたい部位をほぐすのに最適な「HoggsyPLUS」も登場しました!
「Hoggsy」をはじめ、YumiCoreBodyのオリジナルグッズに興味をもっていただけた方は公式ホームページにもまとめてあるので是非「YumiCoreBodyグッズ」をご覧ください。
■まとめ
今回は、巻き肩の主な原因と症状、そして巻き肩改善に効果的なストレッチや筋トレのやり方をご紹介しました。巻き肩を改善することで見た目が美しくなれること、肩こりや首の痛みが改善することはもちろん、呼吸がしやすくなる、胃腸の働きがよくなり消化がよくなる、気分が前向きになれるなど全身へのよい効果がたくさんあり、今よりずっと快適に生活できるようになります!
YumiCoreBodyオンラインレッスンでは、筋肉をほぐしたり鍛えたりすることで姿勢を整え、女性がより快適に生活できるようになるレッスンが充実しています。おうちで好きなときに好きなだけ、全身のほぐしやストレッチ、トレーニングのレッスンをわかりやすい動画で受けていただくことができるので、仕事で忙しくなかなか自分のケアに時間を割けない方、小さいお子様がいて自分の時間が取りにくい方もすきま時間で簡単にご自身の身体を整えることができます!!
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投稿者プロフィール
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Yumi Core Body編集部
国立大医学部卒。スポーツ整形クリニックで勤務後、現在は病院勤務で訪問リハビリ業務に従事。二児の母。理学療法士免許。