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誰にでも起こりうるぎっくり腰の原因や正しい対処法を、動作やリハビリの専門家である理学療法士が分かりやすく説明します。また、ぎっくり腰を治す、ぎっくり腰になりそうなときの予防に効くおすすめのストレッチや筋トレの方法も詳しくご紹介します。

■ぎっくり腰ってどんな感じ?症状と原因

ぎっくり腰の原因

「ぎっくり腰」という言葉は誰でも聞いたことがあると思いますが、どんな状態、症状をぎっくり腰というのか、そしてなぜぎっくり腰になるのか主な原因をご紹介します。

・ぎっくり腰でも動ける!?症状は?

ぎっくり腰の正式な病名は「急性腰痛症」です。急性腰痛症は突然腰に強い痛みを伴う状態で、重たいものを持ち上げたり、腰を捻るなど直接的なきっかけがある場合もありますが、特にきっかけなく突然強い痛みを生じるという場合もあります。傷めている部位は、腰の関節、椎間板、筋肉、靭帯など様々で、症状の強さも我慢すれば歩いたり起き上がったりできるものから、全く動くことができないものまで様々です。部位や症状は様々ですが、急性腰痛症に共通していることは、急激に生じた強い腰痛であり、痛みを伴う部位に炎症を生じている可能性が高いということです。

・【原因その1】ストレッチ不足

ぎっくり腰の原因の一つは、ストレッチ不足=柔軟性不足です。腰や股関節周りの筋肉の柔軟性が不足していることで、腰周りの動きが硬くなり、腰を曲げ伸ばししたり、重たいものを持ち上げたり捻ったりしたときにうまく動かず、腰の関節捻挫や肉離れを起こしてしまいます。

・【原因その2】筋力不足

ぎっくり腰の原因として、筋力不足もあげられます。背骨を支えている腰の筋肉は太ももやお尻など下半身の太い筋肉に比べて細く、縦長に背骨に沿って走行しています。したがって大きな力を発揮することはあまり得意ではありません。特に多裂筋(たれつきん)は、姿勢保持に大きく関与しているインナーマッスルの一つで、背骨一つひとつを繋いでいる小さな筋肉なので、いつの間にか機能(筋力)が低下しがちです。しかし、重たいものを持ち上げるときはもちろん、洗顔や靴下を履くのに前かがみになるときも、それらの筋肉が上半身の重さを支えなければなりません。そのため、しばしば肉離れや炎症を起こしてしまいます。

・【原因その3】腰に負担のかかる動き方・疲労

柔軟性や筋力が十分でも、腰に過度な負担をかけるとぎっくり腰を起こしてしまうことがあります。過度な負担の例えとしては、中腰が長時間続くことや前かがみや腰を反らす動作が繰り返されることです。負担が繰り返される以外にも、重たいものを持ち上げる際に膝や股関節など下半身の大きな関節を動かさず腰だけで持ち上げるような動作をするようなことも一度に過度な負担が腰にかかるため、ぎっくり腰を起こす原因になります。腹筋や背筋で腰はしっかり安定させて、下半身を主に使う「腰に優しい動き方」を身につけることもぎっくり腰予防に重要なポイントです!

 

■間違えないで!ぎっくり腰の正しい治し方・対処法

ぎっくり腰の治し方

ぎっくり腰の治し方や対処法はネット上でも様々な方法が紹介されていますが、大きな間違いを含むものもあります!対処の仕方を間違えると、症状を悪化させてしまうこともありますので、ここで正しい対処法を発症からの時期に分けてご紹介します。

・ぎっくり腰急性期はRICEが即効性◎!

発症してから2~3日を「急性期」と言います。この時期は最も症状が強く、患部の炎症も強いと考えられます。炎症をスムーズに鎮静化させることが症状緩和のために最優先なので、「RICE(ライス)処置」が有効です!

Rest(安静):急性期は安静第一です。できる限り痛みの少ない姿勢を見つけて安静に過ごしましょう。やむを得ず動く場合は、痛みの出にくい動作を心がけましょう。

Ice(冷却):強い炎症を鎮静化させるためには、患部を冷やすこと(アイシング)が大切です。氷嚢を作り(ビニール袋に氷を入れればOKです)、痛みのある部位をできるだけ広く覆えるように氷を直接あて、15~20分冷やしましょう。痛いながらも動ける程度なら一日に2~3回、動けない程の痛みであれば1時間おきに1回くらいの頻度でアイシングを行いましょう。

Compression(圧迫):炎症の強い部位は圧迫することで炎症が鎮静化します。腰の場合は、コルセットの装着や、テーピングを巻くといった方法が考えられます。アイシングの際に、氷嚢を腰にあてて弾性包帯のようなもので腰周りをきつめに巻くのも圧迫になります。適度に締めているだけでも痛みを感じにくくなることもありますので、苦しくない程度にやってみてください。

Elevation(挙上):手足の一般的なケガに対し、腫脹(しゅちょう:腫れ)防止のために患部を挙げておくという処置を行います。ぎっくり腰に関しては、腰を挙上することは難しく、痛みのない姿勢での安静も保ちにくくなるため、あまり適応しません。

このRICE処置はぎっくり腰にかかわらず、どの部位の外傷の場合にも使える対処法なので、是非覚えておいてください!

・ぎっくり腰亜急性期は無理なく、慢性期は積極的に動くのが◎

発症してから2~3日の「急性期」を過ぎると、「亜急性期」に入ります。亜急性期は急性期を過ぎて、発症から一週間程度の期間です。急性期のようにとにかく安静、という時期は過ぎて徐々に動いて行く必要があります。ただし、まだまだ患部の炎症が残っている時期なので、強い痛みを感じる姿勢や動作は避け、痛みなく動ける範囲で少しずつ動いていくのがおすすめです。症状としても、何をしても痛みがあった急性期から、特にどの動作が痛いのか分かってくる亜急性期になるので、注意しなければいけない動作を少しずつ把握していきましょう。

亜急性期を過ぎると「慢性期」に入ります。炎症は徐々に落ち着いていきます。患部の痛みだけでなく、しばらく安静にしていたことで、身体全体が硬くなって動きにくくなっていることも考えられるので、徐々に動きを大きくしていく必要があります。とはいえ、患部に負担をかけるような動作をすると、ぎっくり腰が再発し、急性期に後戻りしてしまうことも十分にありますので、注意しながら動きましょう。

・ぎっくり腰後のストレッチはいつから始める?

ぎっくり腰後に動きを回復させるリハビリとして、ゆっくり筋肉を伸ばすストレッチが有効です。亜急性期に入り、痛みが少しずつ軽くなってきたと感じられたら、軽いストレッチから始めます。亜急性期のストレッチは、腰を大きく曲げたり反らしたり、捻ったりするものは行わず、腰の周りの股関節を中心に動かすストレッチを行います。強い痛みがでないか確認しながら深呼吸とともにゆっくり筋肉を伸ばしてください。

慢性期に入ったら、徐々に患部を含む腰のストレッチも始めます。ただし、どのストレッチもゆっくり日にちをかけて動かす範囲を大きくしていくつもりで取り組んでください。

・ぎっくり腰は病院に行く?行かない?

ぎっくり腰になってしまったとき、病院に行くべきかどうかはかなり悩むところだと思います。

結論から言うと、急性期は病院に行く必要はありません。レントゲンを撮ったり、なんらかの診断はしてくれると思いますが、急性期の腰痛に対してできることは、病院に行ってもRICE処置くらいだからです。それならば、辛い思いをして病院に行くよりは、数日間家で安静にしている方がよいと思います。ただし、整形外科を始めとした病院に行くと、痛み止めの飲み薬や湿布を処方してくれると思います。それを希望する場合は、一刻も早く受診するというのも一つの選択肢です。

急性期を過ぎて少しずつ動けるようになったら、病院を受診して、傷めた部位をはっきりさせたり、治癒促進のためにリハビリや電気治療を受けることがおすすめです。

 

■ぎっくり腰に効くストレッチの方法

ぎっくり腰のストレッチ

ぎっくり腰発症後、亜急性期から慢性期におすすめのストレッチ方法を紹介します。

・寝たまま簡単!だるまストレッチ

腰の筋肉を伸ばし、腰を丸める動きを作るストレッチです。腰への負担が少なく、亜急性期からでも始めやすいストレッチです。

仰向けになり、ゆっくり両脚を曲げて両手で胸に引き付けます。腰周りが伸びている感じがしたらそのまま20秒程度その姿勢をキープします。余裕がある方は前後にゆらゆら揺らしてみるとさらにストレッチされます。逆に両脚を一度に抱えると腰に痛みが出る方は、片方ずつ脚を胸に引き付けてみてください。

・椅子を使ってネコストレッチ

腰を反らす動きを作るストレッチです。丸めるストレッチに比べると、腰を反らす動きは関節への負担が大きいので、腰の痛みに注意しながら徐々に始めてください。

椅子の後ろに立ち、背もたれを両手で持ちます。脚を伸ばしたままゆっくり前に上半身を倒し、背中から腰がしなるようにします。腰に痛みがなければ、さらにお尻を後ろに突き出すと、太もも裏からお尻の筋肉もストレッチできます。

・捻りにチャレンジ!膝倒しストレッチ

腰部の関節にとって、捻り動作は可動域の少ない負担の大きい動作です。また、私たちが腰を捻っているつもりでも、そのほとんどは股関節の捻り動作で作られています。腰の捻りを伴うこのストレッチは前の曲げ反らしの動きがある程度できるようになってから行うようにしましょう。特に椎間板ヘルニアの疑いがある場合は、捻り動作は禁忌となりますので、控えておきましょう。

両膝を立てて仰向けに寝ます。ゆっくりと両膝を左右交互に倒し、腰を捻ります。膝を倒すときは、反動を使わないように注意してください。

・ユミコア式タオルを使ってもも裏ストレッチ

ユミコア式ハムストリングスストレッチ開始

仰向けに寝て両膝を立てて、片足の裏にタオルやバンドをかけます。膝を曲げたまま、膝を胸に近づける。その時に痛みがあれば中止して下さい。痛みがなければ、もう少し深く曲げてもも裏を伸ばしていきます。伸ばした状態で20秒キープ。また痛みがなければ、膝を胸に寄せた所から膝を伸ばして更に負荷を強くしましょう。膝を伸ばした状態でも20秒キープ。

◎目安回数

片脚20秒ずつ

◎ポイント

反動はつけずゆっくり行い、呼吸は止めずに深呼吸を続ける。

ユミコア式ハムストリングスストレッチ中間

ユミコア式ハムストリングスストレッチ最終

・Hoggsyでこわばった筋肉をほぐす!

前に述べたようなストレッチを行ってもなかなか痛みが取れないというとき、亜急性期を過ぎているときは、直接痛みのある部位をほぐすことで痛みが改善することもあります。ただし、ご自身でほぐすときには、ズキっとするような鋭い痛みが生じない範囲で行って下さい。

ご自身で腰周りをほぐす際におすすめなのが、YumiCoreBodyのオリジナルグッズである「Hoggsy」です。自分で身体中どこでも簡単にほぐせる直径7㎝のボールで、青い部分は少し硬めに、白い部分は少し柔らかめに作ってあるので、ボールが変形して身体の深部まで入り込み、より高い筋膜リリースの効果が期待できます。ほぐしたい筋肉にHoggsyをあてて仰向けになって体重をかけたり、自分では手の届かない部位を丁寧にほぐすことができます☆また「Hoggsy」に続き、大きな筋肉やより強い刺激を入れたい部位をほぐすのに最適な「HoggsyPLUS」も登場しました!ご自身の身体にあったお好みのものを選んで使ってみてください!

 

■再発注意!ぎっくり腰は予防が肝心

ぎっくり腰の予防

ぎっくり腰は何度も繰り返している方が多く、きちんと治すこと、治ったあともケアを続けて予防することがとても大切です。ここでは、ぎっくり腰の予防に大切なことをご紹介します。

・ぎっくり腰予防にはストレッチが◎

ぎっくり腰の原因としてストレッチ不足をあげたように、身体が硬く腰周りの筋肉や関節の動きが悪いとぎっくり腰になりやすくなります。言い換えると、毎日の習慣としてストレッチを行うことで身体の動きがしなやかになり、ぎっくり腰を予防することができます。前でご紹介したぎっくり腰に効くストレッチを行うこと、そして腰に負担がかからないように下半身もしっかりとストレッチを行うことが大切です。特に、起床後や作業や運動を始める前などにストレッチを行うと効果的です。

ぎっくり腰予防に効果的なストレッチについては、「理学療法士ママが伝授する股関節を柔らかくするストレッチ方法!」にも多数ご紹介していますので、参考にしてみてください!

・ぎっくり腰予防には姿勢保持に必要なインナーマッスルの筋トレがマスト!

ぎっくり腰を予防するためには、腰を支えるためのインナーマッスルの筋トレが必要です。腰を支えている主なインナーマッスルは、腰のコルセットと同じ役割をしている腹横筋と、背骨に沿って背中側に走行している多裂筋です。

【腹横筋トレーニング】

1.仰向けに寝て両膝を立てます。

2.鼻から息を吸いながらお腹を膨らめ、口から息を吐きながらお腹をへこませる「腹式呼吸」を行います。

※お腹をへこませるのと同時に、膣を軽く引き上げるように意識すると「骨盤底筋」も収縮し、より腰周りが安定します。

3.腹式呼吸に慣れてきたらお腹をへこませた状態(腹横筋が収縮した状態)を維持したまま胸式呼吸(胸が動く呼吸)に切り替えて呼吸を続けます。

ポイントは呼吸をしながら常に腹横筋が働いている状態=自前のコルセットが効いている状態を作れるようになることです!

【多裂筋トレーニング】

1.脚を伸ばしてうつ伏せの状態で腹式呼吸を何度か行い、腹横筋がきいている状態を確認します。

2.呼気のときに、左右前面に触れる骨盤の骨(上前腸骨棘:じょうぜんちょうこつきょく)を床面に押し付けるように骨盤を傾けます。このとき、仙骨(せんこつ:お尻の逆三角形の骨)上部あたりの筋肉(多裂筋)が引き締まるように収縮するのを感じることができればOKです。

3.吸気のときは脱力し、呼気で多裂筋が収縮する呼吸を繰り返し行います。

腹横筋も多裂筋も最初は収縮している感覚がつかみにくいかもしれませんが、続けて行ってみましょう。いずれもインナーマッスルなので大きな動きにはつながらず、確認するのが難しいですが、徐々に収縮を感じられるはずです!

インナーマッスルや体幹トレーニングについてさらに詳しく知りたい方は、「ママ理学療法士直伝!女性の健康美追求の簡単体幹トレーニングとは」をご覧ください♪

・ぎっくり腰を予防するには正しい動き方を覚える

ストレッチで柔軟性を高め、腰を支えるインナーマッスルの筋力をつけたら、気を付けるべきは腰に負担のかからない動作を身に着けることです!長時間座りっぱなしや立ちっぱなしになるときは、30分~1時間に一回はなるべく体操やストレッチをして腰周りを動かすようにすること、重たいものを持ち上げるときは、腰の曲げ伸ばしよりも膝や股関節を使うこと、腰を捻るときは勢いよく動かずゆっくり動くことなどの点に注意しましょう!どんな動作が腰に負担がかかるのかを理解し、気を付けるだけで多くのぎっくり腰を予防することができます。

ぎっくり腰を予防する動き方については、「腰のストレッチで腰痛予防!今すぐできるユミコア式ながらストレッチ法とは?」でもご紹介していますので、参考にしてくださ

 

■まとめ

今回は、突然強い腰痛を生じる「ぎっくり腰」について原因や症状、正しい対処法、早く治すためのストレッチについてご紹介しました。昔から腰が弱い、一度ぎっくり腰になったという理由で繰り返すのは仕方ないとあきらめてしまっている方が多いのではないかと思いますが、そんなことはありません!

正しいストレッチや筋トレ、正しい動作を身に着けることで多くのぎっくり腰は予防することができ、どんな方でも遅すぎるということはありません。是非これを機に、正しいケアをして、ぎっくり腰の不安を解消していただきたいと思います。

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